暗号資産売却者の実態と確定申告の認識
弁護士ドットコム株式会社が実施した「暗号資産に関する実態調査」の結果が注目を集めています。この調査は、相場の変動が大きい現在の暗号資産トレンドにおいて、実際に売却を行った人々がどれだけ確定申告の必要性について理解しているかを明らかにすることを目的としています。調査は2025年2月26日から3月5日まで行われ、674名の弁護士ドットコム会員が回答しました。
売却実績は全体の15%に
調査結果では、2024年中に暗号資産を売却したと回答したのは全体の14.8%ということが分かりました。ほとんどの人(85.2%)は売却を行っていないことが明らかになっています。暗号資産の売却を行った人の多くが、主にビットコインを取引していることが分かります。ビットコインは、売却した暗号資産の79%を占め、イーサリアムが33%、エックスアールビーが10%となっていました。
確定申告の認識は明暗を分ける
確定申告の義務について尋ねたところ、全体の約67%が「知っていた」と回答しましたが、実際に暗号資産を売却した人の中でも約12%がその義務を知らなかったという結果が出ました。これは意外にも、「知っていた」人が88%に達し、売却未経験者と比較して意識している様子が表れています。売却者の中にも、確定申告の義務を正しく理解していない人が存在することが、今後の法的な問題につながる可能性を示唆しています。
確定申告の意向調査
さらに、確定申告を行うつもりがあるかどうかを尋ねたところ、売却者の45%が「ある(すでにした)」と回答しました。残りの55%は申告を行うつもりがないと答えました。この理由には「利益が少額だった」との声が目立ち、実際に確定申告の義務が生じないために行動しないというケースが多いことがわかりました。
調査の意義
この調査から得られる知見は、急成長を遂げている暗号資産市場における法制度や、税務上の理解促進の必要性を浮き彫りにしています。暗号資産取引を通じて利益を得る人々が増える一方で、その運用に対する知識や、必要な手続きについての教育が急務であることがこの結果から見えてきます。
まとめ
今後の暗号資産市場の発展に伴い、参加する人々の知識を高めるための情報提供が重要です。業界団体や教育機関は、確定申告や法律に関する教育プログラムの充実を図る必要があります。確定申告の義務を知らないことが、後々のトラブルを引き起こすことを防ぐための第一歩と言えるでしょう。これからの暗号資産取引の未来を担うためにも、一人ひとりが金融リテラシーを高める重要性を認識していくべきです。