大阪のおばちゃんから学ぶ“おせっかい”精神
2025年6月、京都芸術大学大学院とOMO7大阪(星野リゾートの街ナカホテル)が共同で実施した「おせっかいプロジェクト研修」が、注目を集めています。この研修は、大阪特有の文化を活かしつつ、現場のサービススタッフがどう気軽な声かけの技術を学ぶかに焦点を当てています。
この取り組みは、同大学院の学際デザイン研究領域に属する「きっかけのコミュニケーションラボ」との連携によって生まれました。特に、大阪の文化に根付いた「おばちゃんことば」を用いることで、参加者が親しみやすい形で「おせっかい」を体現しようという意図があります。
研修のプログラム
研修は、実践型ワークショップ形式で展開され participants のサービススタッフが、実際の業務に即した形で学ぶことができるように設計されています。具体的なプログラムでは、「どこ行くん? 一緒に行こか?」や「ちょっと助けたって」といったフレーズを声に出して練習します。
その後、参加者はペアを組み、チェックインや館内案内などの実際の業務を想定した演習を行います。このプロセスの中で、各自が自分自身の「おせっかいフレーズ(OMOフレーズ)」を考案し、最終的に「おせっかい注力スクリプト」を作成して現場に持ち帰ります。
さらに、研修終了後には、参加者が日常業務で直面する場面を想定した「おせっかいビンゴ」が開発され、社員間でのコミュニケーションの活性化が期待されています。これは単なる言語習得にとどまらず、行動変容を促すための仕組みとして機能します。
背景と意義
このプロジェクトは、「小さな親切行動を促す社会」を目指すものであり、大阪の文化に深く根ざした「おせっかい」という概念を再定義することに貢献しています。研修の企画には、青山優里さんと長谷川霞さんが携わっており、彼らは「大阪のおばちゃん」の言葉の力に注目しました。このようなアプローチを通じて、日常の小さな声かけが人と人との距離を縮めるきっかけとなることを願っています。
また、OMO7大阪では、名前の通り“なにわラグジュアリー”というブランドコンセプトに基づき、地域づくりやおせっかいなホスピタリティを大切にしているため、研修内容が実際のサービス現場に適応されやすくなっています。
研修の成果として、参加者からは「同僚とのおせっかい視点が共有できた」「声かけの型ができてきた」といった前向きな意見が寄せられています。これにより、チームの相互理解が深まり、行動も変化してきていると報告されています。
今後の展望
このプロジェクトは、今後も社内独自の「S-pro」というプロジェクトを中心に、研修から生まれたスクリプトやビンゴを活用したプログラムを展開していく予定です。また、京都芸術大学としてはこの経験を通じて、研究が実社会にどのように生かされるかを示し、他地域や分野との連携も図っていく考えです。
この「おせっかいプロジェクト研修」がどのように進化し、サービス業界に新たな風を吹き込むのか、今後の展開に注目が集まります。