次世代の産業を支える超高純度水素精製装置の登場

超高純度水素精製装置「UHP-VASABM250101」の登場

大分発のスタートアップ企業、株式会社ウルトラハイピュリティ（以下、ウルトラハイピュリティ）が、新たに開発した超高純度水素精製装置「UHP-VASABM250101」のプロトタイプが、世界初のバナジウム合金膜を採用していることでも注目を集めています。この装置は、半導体や宇宙産業、医療やモビリティ分野まで、幅広い産業での利用が期待されています。

バナジウム合金膜技術のメリット

「UHP-VASABM250101」は、太陽鉱工株式会社や株式会社東海理化との産学連携によって開発されました。この装置は、水素自動車に必要とされる充填基準（99.97%）を大幅に上回る、99.9999%以上の純度を誇ります。これは、次世代の半導体や電気自動車（EV）のパワー半導体製造に必要な超高純度水素を効率的に供給するためには欠かせないものです。

特に、半導体製造分野では、2nmプロセスルールの最先端技術を用いた製品開発が進んでおり、その中での需要が増しています。さらに、医療分野でも手術や臓器保存に用いるための水素環境の必要性が高まっています。こうした需要に応える形で、ウルトラハイピュリティは早くも問い合わせを受けている状況です。

環境に優しい持続ableな技術

この新しい水素精製装置は、バナジウム合金膜技術を利用しており、従来のパラジウム膜と比べて着実にコストを削減する可能性があります。水素透過効率は競合製品の数倍にも及び、低温での水素分離が実現されます。これは、希少金属に依存せず、地球上に豊富にあるバナジウムを使用することで持続可能な水素社会の実現に寄与します。

“UHP-VASABM250101”に搭載されている水素分離モジュールは、実用化レベルでの成果をもたらし、高圧対応・大流量化も視野に入れています。これにより、8N（99.999999%）純度の要求にも対応可能となる見通しです。

未来への展望

2023年2月に行われた専門展示会「第20回国際水素・燃料電池展」において、ウルトラハイピュリティはこの画期的な装置を発表しました。国内外の200を超える企業や研究機関が興味を示し、次世代の水素供給ソリューションとしての可能性を広げています。

また、ウルトラハイピュリティの代表取締役である横山元浩氏は、この技術の実用化を通じて、エネルギー自給や水素社会実現の鍵として日本から世界へ発信できることの意義を強調しています。これは、クリーンな世界と未来を次世代に手渡すための重要なステップだといえるでしょう。

地域の技術を活かし、これからの産業を支える新たな水素精製装置「UHP-VASABM250101」は、多くの期待を背負って誕生しました。ウルトラハイピュリティは今後、さらに多くの分野において水素ソリューションを提供し、持続可能な発展を目指して邁進していきます。