フューチャーアーキテクトが新しいAI-OCRサービスを提供開始
フューチャー株式会社の主要子会社であるフューチャーアーキテクト株式会社が、AI技術を駆使したOCR(光学的文字認識)プラットフォーム「Future OCR」の新しいバージョンを発表しました。この更新は2024年11月から利用可能になり、特に給与支払報告書の読み取り精度を大幅に向上させています。
給与支払報告書の重要性
日本国内では、約6,068万人の給与所得者が存在し、そのため多くの企業が毎年1月末までに適切に給与報告を行う必要があります。しかし、現行の地方税ポータルシステム「eLTAX」では、2021年度の時点で給報を電子化する割合は61.5%にしか達していません。このことは、依然として多くの企業や自治体が人手によるデータ入力を余儀なくされていることを示しています。
給与支払報告書は、おもに「頭紙」「総括表」「明細書」といった複数の形式があり、そのフォーマットも自治体によって異なるため、人手による作業が避けられない実状があります。このような状況に対応するため、フューチャーアーキテクトは2021年よりSGシステムとの共同で動き出しました。
最新版の機能と特長
新たにリリースされた「Future OCR」には、様々な機能が追加されています。
1. 読み取り精度の向上
独自のAI-OCRエンジンが改良され、読み取り精度は99.1%に達しました。また、特に難度が高い「氏名カナ」に関しても精度が98.6%を記録しています。この高精度化に伴い、手動入力時の不一致エラーは20%減少しています。
2. 総括表対応
ユーザーのニーズが高かった総括表の読み取りにも新たに対応しました。これにより、従来の明細表と同様、事前設定なしでの自動解析が可能となり、業務効率が大幅に向上します。
3. ファイル変換ツールの導入
後続のシステムが求めるファイル形式に変更できる「ファイルレイアウト変換ツール」も新たに実装され、これによりデータの流れがスムーズになります。
4. エントリーシステムの改善
新システム「ファストエントリー機能」により、AIによって信頼度が高い項目は自動確認、信頼度が低い項目のみを人間が確認することで、大幅に時間を削減できるようになっています。また、スキャン画像上で入力箇所を明確に示すことで、直感的な操作が可能になりました。
今後の展開
フューチャーアーキテクトは、このAI-OCRサービスを通じて自治体や事業者がより効率的に業務を進められるようにサポートを強化していく方針です。今後もAI技術の向上に努め、様々な業界での生産性向上に寄与することを目指しています。これにより、貴重な労働資源を有効に活用し、業務の省力化を実現することが期待されます。
新たな時代のデータ処理に向けた一歩を踏み出した「Future OCR」の活用が、社会全体の業務を効率化する鍵となるでしょう。