求人市場の賃金動向:従業員500人以上の企業で募集賃金の上昇率が加速
Finatextグループの株式会社ナウキャストと株式会社フロッグは、求人ビッグデータに基づいた賃金動向指数サービス「HRog賃金Now」の6月データの一部を公開しました。
「HRog賃金Now」は、膨大な求人広告データから得られた賃金動向を分析するサービスです。従来の公的統計と比較して、より高い頻度性と速報性を持ち、雇用形態別に詳細な分析を行うことができます。
6月の賃金動向
正社員
6月の正社員の募集賃金指数は、前年同期比でわずかに減少しました。しかし、募集賃金は依然として高い水準を維持しています。求人数指数は、12月にプラスに転じて以降上昇を続けています。
特に注目すべきは、企業規模別の賃金指数です。4月以降、従業員500人以上の企業の上昇率が加速しています。これは、新年度の賃金改定の効果が反映され始めていると考えられます。一方で、499人以下の企業は、引き続き高い成長率を維持しているものの、4月以降大きな加速は見られません。
アルバイト・パート
6月のアルバイト・パートの募集賃金指数は、前年同期比で5月から減少しました。求人数指数も減少しており、2021年4月以降初めて前年比がマイナスとなりました。求人の逼迫度合いが緩和しているため、賃金が以前ほど強く上昇しない状況が4月以降続いていると考えられます。
地域ごとの賃金上昇率
正社員
募集賃金の上昇率は4月と比べて横ばいで、5月と比べて減少した都道府県が大半を占めています。5月に4%を超えていた奈良県と熊本県は再び4%以下となりました。高い募集賃金の伸びは地域によっては一段落している様子が見られます。東京は5月に引き続き改善し、他の県との差が縮まりました。
アルバイト・パート
アルバイト・パート系列は全国平均の上昇率が5月からわずかに減少しています。都道府県ごとの上昇率は5月から上昇、横ばい、減少がまちまちとなっています。北海道、和歌山県など過去+4%を超えて高く推移していた県では上昇率が4%以下となりました。特に北海道では2023年7月以降連続で前年比+4%超の推移が続いており、他の都府県と比べてもアルバイト・パートの募集賃金上昇が目立っていましたが、その動きが今後落ち着く可能性があります。
「HRog賃金Now」について
「HRog賃金Now」は、高い頻度性と速報性を持ち、さまざまな角度からの分析が可能な賃金動向指数サービスです。公的統計と「HRog賃金Now」を合わせて見ることで、より深い分析が可能になります。
「HRog賃金Now」は、日本経済の現状を評価し、政府の政策や日本銀行の金融政策が求人市場にどのような影響を与えているかを分析することで、日本経済や金融政策の予測に活用できます。
今後の展開
ナウキャストとフロッグは今後も、「HRog賃金Now」を通じて、賃金・求人動向をタイムリーに提供していく予定です。