異なる視点で語るミュージカルの未来と魅力とは

ミュージカルの未来を語るトークイベント

2025年7月18日、銀座・蔦屋書店の特設スペースにて上村由紀子と西川大貴がミュージカルの魅力を語るトークイベント「客席と舞台裏から考えるミュージカルの世界」が行われました。このトークイベントは『ビジネス教養としてのミュージカル』の出版を記念して開催され、ミュージカルを愛するファンが集まりました。

イベントは開場後、観客が静かに集まりながら始まりました。上村は演劇ライターとして活動し、西川は俳優でクリエイターとしても多彩に活躍しています。二人の異なるバックグラウンドと見解が如何にミュージカルに対する理解を深めるかが注目されました。

ミュージカルへの愛と視点の共有

トークの冒頭で、上村は自身の新著『ビジネス教養としてのミュージカル』が発表後2週間で重版が決定したことを嬉しそうに報告しました。この書籍が多くの人々に手に取られたことは、彼女にとって大きな喜びであるとのこと。西川も著書について「非常に中立的に書かれていて読みやすかった」と評価しました。上村はこの本が、ミュージカルに馴染みのない人々にとっての「地図」となることを強く意識し、5か月かけて執筆に取り組んだと語りました。

アツかったミュージカルの話題

次第に話題は最近観劇したミュージカルの感想へと移ります。上半期に印象的だった作品として『SIX』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が挙げられました。上村は特に『SIX』のキャスティングに言及し、全役が女性で構成されたこの作品が如何に成功を収めたかを分析。西川は、それによって観客へのアプローチが変化し、次回のキャスティングにも期待が寄せられると話しました。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に関しては、劇団四季による初演が話題となりました。伝説的な映画のミュージカル版を成功裏に舞台化した点について、両者はその取り組みに感銘を受けていました。

チケット代の高騰についての考察

後半では、今ミュージカル界で避けて通れない問題「チケット代の高騰」についても触れました。上村はその原因を資材費の増加、2024年のトラック問題、円安という三つの点に絞り解説しました。特に舞台装置や衣装に使われる材料の価格が上昇していることは深刻な要因とのこと。そして、働き方改革の影響で制作側の人件費も増え、これらがチケット価格に反映されている現状を西川は訴えました。

ミュージカルを日常に溶け込ませる

トークが進む中で西川は「劇場がもっと日常にあるべき」と主張し、観劇を特別なイベントではなく普段の生活の一部として捉えたいと述べました。一方で上村は、観劇体験こそ非日常であるという立場を主張し、二人の意見は全く異なっていましたが、どちらが正しいかを問わず、観客が求める演劇の在り方はそれぞれであるとの共通の認識に至りました。

トークの終盤では、今年のトニー賞の話題など他にも多くのミュージカル業界のトピックが続き、観客が多くのことを学べる機会となりました。最後は観客との質疑応答を設けるなど、双方とも熱心に意見を交わし、貴重な対話の場となりました。

ミュージカルの創造的な世界は決して単純ではなく、様々な視点や意見が交わされることで豊かになります。このイベントを通して、上村と西川の意見がどのように日本のミュージカル界に影響を与えるのか、今後の動きが注目されます。

以上のようなクロストークを経て、今後のミュージカルの未来について、明るい展望を持つことができました。これからも多くの人が劇場へ足を運び、自らの目で演劇を体験することを願っています。