沖縄の新しい本屋スタイル「思い出書店」とは
沖縄に新たに登場した「思い出書店」には、懐かしい思い出が詰まった本と新しい出会いが待っています。このオンライン・オフラインの古書交換サービスが、2024年度のグッドデザイン賞を受賞したことをご存知でしょうか。運営は株式会社スタジオユリグラフで、私たちが普段触れる本の価値観を見直すきっかけとなる取り組みです。
古書交換の新たなスタイル
「思い出書店」は、持ち寄った本に書かれた思い出を通じて、本と人との素晴らしい出会いを生み出す場所です。毎日数えきれないほどの本が新品で販売される中、どうしても忘れられがちなのは、その本が以前の持ち主にもたらしたストーリー。思い出書店では、各本に特製の帯が付いており、元の持ち主の思い出がそこに記されています。この帯を基にして、新たな読者が本を選ぶ楽しさが広がります。
また、「思い出書店」では本を購入するのではなく、自らの思い出の詰まった本を持寄って交換するルールになっています。これにより、単なる商取引ではなく、思い出の交換が行われるのです。自分が大切にしていた本が新たな持ち主の元で新しい情報や感動と出会う様子を想像するだけで、美しい物語が紡がれるのです。
どこでも広がる可能性
思い出書店の優れた点の一つは、特製の帯と本さえあれば設置できること。カフェや公民館、さらにはイベントスペースなど、さまざまな場所で本との対話を生み出せます。このユニークな仕組みは、本と人々の豊かな交流を促進し、地域づくりにも貢献しています。場所に関係なく、コミュニティ全体で本が循環する楽しみを感じることができるのです。
書店の減少と「思い出書店」の背景
近年、書店の数が減少していることは深刻な問題です。全国で書店が無い自治体は27.6%にも登り、沖縄県では特にその割合が高く、56.1%が無書店自治体という現状にあります。思い出書店は、このような環境から生まれた新たな試みなのです。
本の流通がネットにシフトする中で、書店は文化を育む貴重な場としての役割を果たしています。思い出書店は、その持続可能なモデルを模索し、人々と本との新しい関係を築くための重要な一歩といえるでしょう。
拠点オーナーとサポーターを募集
思い出書店は、全国に広がる活動を支えてくれる拠点オーナーやクラウドファンディングのサポーターを募集中です。地域に思い出書店を広げたいと思う方や、少額からでも支援をお願いしたい方は、公式サイトを通じての参加が可能です。月500円から始まる支援により、思い出書店の様々な活動が支えられます。
この新しい図書文化を共に育んでいくために、ぜひこれからも思い出書店を応援し、温かな思い出を交換し合いませんか?
このように「思い出書店」は、ただの古本の交換ではなく、その背後にある人と人とのつながり、文化、思い出を大切にしています。その活動に参加することで、未来の書店像を共に考え、創造していくことができるのです。