遺骨管理の新視点
2024-05-31 12:00:02

少子高齢化時代における遺骨管理の新しい視点が提案された

研究ノートの背景


近年、少子高齢社会の進展に伴い、死亡後の遺骨の引き取り手がないという「無縁化」の現象が加速しています。日本の高齢者の一人暮らしの増加は、身元が判明している遺体・遺骨が引き取られず、葬儀や納骨が行われない状況を生み出しています。せいざん株式会社の取締役である池邊文香氏と僧侶の小川有閑氏は、この重大な課題に取り組むため、共同で研究ノート『少子高齢社会の遺骨の行方-死後の無縁化に関する一考察-』を執筆しました。

研究ノートの内容


この研究ノートでは、特に行政サービスだけでは解決が難しい「弔うこと」の重要性について触れられています。具体的には、2018年4月から2021年10月末までに引き取り手のない死亡者は105,773名にのぼり、その多くが身寄りがあるにもかかわらず親族の意思による無縁化が実情として存在しています。ここでの焦点は、死後の無縁化が進む中で、寺院という宗教法人がどのように「弔うこと」に関与していくかという点です。

無縁化が進行する現代社会における課題


総務省が発表した『遺留金等に関する実態調査結果報告書』は、無縁化の進行が社会問題となっていることを強調しています。この報告書では、特に高齢者の死亡時に引き取り手がいないケースが増加しており、行政がその対応に苦慮している実態が示されています。また、行政が提供できるサービスはあくまで最低限のものであり、より深い「弔うこと」の視点が欠如していると指摘しています。

寺院の役割と期待


本研究ノートでは、寺院が「弔うこと」に関して果たせる役割に着目しています。これまで長年にわたって弔いに関わってきたことから、寺院に対する期待はますます高まっています。特に、葬送に留まらない人の生と死への尊厳を守る支援が求められています。本ノートでは、寺院がどのように地域社会において大切な役割を果たしていくかについて考察されており、さまざまな提言もなされています。

まとめと今後の展望


少子高齢化社会における「死後の無縁化」は避けられない現実となってきていますが、この研究ノートは地域福祉の新たな形を模索する契機として重要です。池邊氏と小川氏の見解は、今後の政策形成や地域での取り組みに影響を与えることが期待されています。彼らの活動が、より多くの人々に「弔うこと」の大切さを再認識させ、地域全体で支える社会づくりにつながることを願っています。

本研究ノートは、大正大学地域構想研究所の2023年度紀要に収録され、2024年5月29日に発表される予定です。今後の研究や議論において、この貴重な資料が役立つことを期待します。

会社情報

会社名
せいざん株式会社
住所
東京都港区北青山2-12-9
電話番号
03-6804-2411

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