新たな製造法の確立
日本曹達株式会社と三谷産業株式会社のグループ企業であるアクティブファーマ株式会社は、東京大学との共同研究によって抗リウマチ薬「イグラチモド」の新しい製造プロセスを確立しました。この製造法には、ポリスチレン樹脂に固定化されたNHC触媒を用いた連続フロー法が採用されています。このプロセスの特徴は、環境に優しく、持続可能な方法であることです。
研究の詳細
本研究は、医薬品の製造における環境影響を減少させるため、連続フロー合成プロセスを通じて具体化されました。これにより、従来の多段階プロセスや有機溶媒の使用による課題を克服することができます。
イグラチモドは関節リウマチの治療薬として広く知られ、最近ではCOVID-19重症化抑制への応用も期待されています。しかし、従来の製造プロセスは複雑で、環境負荷が高いという問題がありました。研究チームは、これを解決するために、NHC触媒を用いた合成法を開発しました。
技術の特徴と利点
新しい連続フロー法では、金属を必要としない有機触媒を利用することで、高い反応性と環境への負荷低減が実現されました。研究結果では、安定した条件下で24時間連続運転を行い、約1.8gのイグラチモド前駆体を効率的に生成することが示されました。この技術は、反応条件の制御が可能なインラインNMRを用いて、リアルタイムでの解析を行うことにより、より高い生産性を実現しています。
簡便な後処理
さらには、製造プロセス後の後処理が容易であり、酸洗浄や再結晶を行うことによって、イグラチモドの原薬を簡単に得ることが可能です。研究の結果、原料からの収率が75%に達し、原薬製造プロセスとしての有効性が証明されました。
今後の課題と展望
研究チームは、確立した製造法を基盤にして、さらなる技術開発を進める予定です。特に、触媒の長寿命化やスケールアップを模索しており、他の医薬品原薬や農薬原体など広範な応用を考慮しています。これにより、製造過程の廃棄物を削減し、コストを下げることで、製造の安全性と効率を向上させることを目指しています。
連続フロー法について
連続フロー法は、医薬品合成の新しいトレンドとして注目されています。2015年に東京大学の研究チームにより、医薬品成分を高選択的かつ高収率で合成する手法として構築されました。この技術は不均一系触媒を用いて反応を効率化させ、今後の医薬品製造に新たな可能性をもたらすでしょう。
まとめ
日本曹達と三谷産業が共同で開発したこの革新的な製造プロセスは、持続可能な医薬品製造の新たな基盤として期待されています。今後のさらなる研究成果に注目が集まります。