営業資料の効果を左右する現場と経営層の意識のギャップとは
営業活動において、営業資料の質が成果に大きく影響を及ぼすことは広く知られています。しかし、最近の調査結果からは、現場の営業担当者と経営層との間でこの問題に対する認識の違いが明らかになりました。株式会社PRIZMAは、営業担当者、営業責任者、経営層を対象に「営業資料の課題に関する調査」を実施し、興味深い結果を得ることができました。
調査の背景と目的
営業資料は、顧客に対する提案やプレゼンテーションに必要不可欠なものであり、その質と設計は成功に直結します。特に、複雑な商材や多様な意思決定が求められる大企業への営業では、伝達の精度が重要です。しかし、現場と経営層は営業資料に関する共通理解が不足しているようで、結果として効果的な営業戦略を構築できていないケースが見受けられます。
調査結果の概要
調査において、営業担当者が抱える課題として最も多かったのは『新規顧客の開拓が難しい』という点で、営業担当者の50.6%、経営層の54.6%がこの課題を認識していました。他にも、営業担当者は『顧客との信頼関係を築くのが難しい』や『商材の魅力や特徴を十分に伝えきれていない』といった声を挙げています。これに対し、経営層は営業活動の成否を市場環境や営業努力に帰属させやすく、内部の課題に目を向けることが少ない傾向があります。
意識のギャップとその影響
現場の営業担当者は、伝え方が商談の成立に直接影響を与えるという感覚を持っている一方で、経営層はその重要性を軽視しがちです。このズレが営業支援施策に影響を及ぼし、非効率な結果を招くこともあります。特に、大企業との商談においては複数の意思決定者が関与するため、情報を正確に伝える難しさが増します。ほとんどの営業担当者がこの「伝達の難しさ」を実感しており、経営層が充分に理解できていない現実があります。
資料改善の必要性
さらに、商材が伝わらない原因として『顧客に前提知識がなく理解が追いつかない』『営業担当者の説明スキルに依存している』『資料が文字中心で読みづらい』という点が挙げられました。このような状況は、資料が「属人性を補完するインフラ」として機能していないことを意味します。つまり、誰が説明しても伝わるような仕組みが求められています。
営業資料の改善策
営業資料の改善に向けて、現場と経営層の意識をすり合わせることが重要です。調査によると、ストーリー仕立てや漫画形式の営業資料が効果的であると評価される一方、経営層の中にはその効果に懐疑的な声も多いのが現実です。営業現場からは「使ってみたい」との希望が多く、実際に高い評価を得ていますが、経営層は“フォーマルさ”や“軽視されるのではないか”といった懸念を強く持っているようです。
結論
営業資料の改善は、単なる情報伝達手段を超え、顧客との関係性を築くための「提案装置」としての役割を果たすことが必要です。現場と経営層のコミュニケーションを強化し、課題を共有し、共に改善の方向性を見出すことが営業成果を向上させるための第一歩となるでしょう。営業活動の成功は、信頼構築と商材の魅力を的確に伝える「伝える力」にかかっているのです。未来の営業環境においては、営業資料を通じた新たな提案のカタチが求められています。