ジャーナリスト北村兼子さんに特別卒業証書贈呈
関西大学は、女性の地位向上に尽力したジャーナリスト・北村兼子さんに特別卒業証書を贈ることを決定しました。この贈呈式は2024年2月27日、大学の千里山キャンパスで行われ、高橋智幸学長からご遺族に手渡されます。北村さんは1923年にこの大学の法学部で聴講生として学び、1946年までに全ての聴講科目を修了しましたが、当時の制度により卒業が認められなかったため、この特別の措置が取られます。
卒業証書贈呈の意義
「特別卒業証書」とは、卒業したくても多くの事情から叶わなかった人へ贈呈されるものです。これまでにも男子学生4名に対しては特別卒業証書が贈られた歴史がありますが、女性に対しては初の試みとなります。北村さんの功績を称え、3月8日の国際女性デーを前に、彼女の挑戦と影響力を再評価する意義があります。
北村兼子さんの生涯と業績
北村兼子さんは1903年に大阪に生まれました。彼女は、本学にて女性の初の聴講生となり、在学中から新聞に寄稿を行い、社会問題に取り組んで注目を集めました。大阪朝日新聞社に入社後は、記者として災害報道や社会批評を展開し、退社後も精力的にジャーナリストとして活動しました。特に女性の参政権獲得に向けて声を上げ、演講や国際会議での発表に力を入れました。さらには飛行士の免許を取得し、欧州への飛行計画も立てたことから、彼女の行動力は世代を超えて受け継がれています。残念ながら27歳で病により命を落としましたが、その短い生涯ながらも多くの人々にインスピレーションを与えました。
文化的な伝承
北村兼子さんの生涯は伝記『北村兼子炎のジャーナリスト』(大谷渡著、東方出版)などで広く知られるようになり、彼女の情熱や業績が後世に伝えられています。また、彼女を題材にした映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』が2025年4月25日公開予定です。この映画ではヒロインが北村さんについて触れるシーンが盛り込まれ、大九明子監督がその存在に感銘を受けたことが背景にあります。
おわりに
この特別卒業証書贈呈は、北村兼子さんの情熱や努力を再評価すると同時に、彼女が切り拓いた道を今の世代に伝えるための重要な機会です。特に女性の権利向上に向けた動きを促進するという彼女の意志は、今なお多くの人々に受け継がれているのです。関西大学でのこの特別な記念日が、多くの人にとって影響深い経験となることを願ってやみません。