大雪によるソーラーパネル破損激増!事故防止策を考える
近年、特に寒冷地において大雪が降るシーズンに、太陽電池発電設備が多くの破損を被っています。独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)による調査によれば、2019年度から2023年度にかけて、氷雪による電気事故が56件報告され、そのほとんどが太陽光発電設備に関連しています。
調査結果の概要
NITEの調査によると、大雪が観測された年には特に太陽光発電設備の破損報告が急増します。特に注目すべきは、破損事故の9割がソーラーパネルの基盤となる架台にも影響を与えていることです。この状況を受けて、各設置者における早期の巡視や除雪の重要性が強調されています。
事故が多発する地域
報告によると、特に東北や北海道、中部地方で事故が多発しています。これらの地域は年間を通じての降雪量が多く、危険性が高まることから、設置時からの適切な対策が求められています。
積雪への対策
NITEは、設置者に対し以下のような対策を講じるよう呼びかけています:
1.
設置時の対策: 積雪が多い地域では、JIS基準やガイドラインに従い、気象条件に応じた架台の設計を行う必要があります。特に、パネル傾斜角を設定することで、積雪が落ちやすくする設計が重要です。
2.
保安監督者との相談: 積雪が予想される場合は、事前に保安業務を担当する電気主任技術者と相談し、適切な対策を協議することが必要です。
3.
金具や接合部の点検: ソーラーパネルを固定する金具や架台の接合部を定期的に点検し、緩んでいないかを確認しましょう。
4.
巡視点検・除雪の強化: 除雪計画を事前に策定し、定期的な巡視点検と除雪作業を強化することが効果的です。特に雪がたまりやすい箇所に重点を置いた除雪計画が必要です。
事故が発生した場合の対処法
万が一、事故が発生した場合は、まず感電の危険性を考慮し、関係者以外の立ち入りを禁止します。そして、破損したソーラーパネルは速やかに回収し、復旧作業には安全装備を着用の上、専門家の指示に従うことが重要です。
近年の具体的な事故事例
1.
2022年2月(関東地方): 積雪の影響でソーラーパネル用架台が倒壊し、破損事故が発生しました。これは特定エリアの除雪を優先した結果、他のエリアで雪の圧力が増加したためと推定されます。
2.
2023年3月(東北地方): 降り続いた雪が原因で架台が破損し、運転中に警報が発報されました。
3.
2023年1月(中部地方): 大雪と強風の影響により、架台全体の倒壊及びソーラーパネルの落下が見られた事例があります。
今後の対策
事故を防ぐためには、早急かつ適切な対策が不可欠です。設置する際の設計を気象条件に合わせ、定期的な点検や除雪を行うことで、安全性を高めることができます。また、過去の事例を基に、適切な金具や架台の設計が求められます。このように、ソーラーパネルの事故防止には、日常的な管理と事前の対策を怠らない意識が必要です。
特に積雪が多い地域では、事前の準備と適切な点検が重要であり、これによって事故を未然に防ぐことが期待されます。これからの冬に向けて、私たち一人ひとりが意識を持ち、行動に移していくことが求められます。