大日本印刷の新たな「AI職員」サービス
大日本印刷株式会社(以下、DNP)が2025年6月17日に、自治体業務の在り方を変える新しいサービス「DNP AI職員提供サービス」を開始します。このサービスは、バーチャル空間を利用した「メタバース役所」や自治体のWebサイトを通じて、住民からの問い合わせに対応するものです。これにより、自治体職員の業務負担が軽減され、住民にとっても迅速にサービスを受けられる環境が整います。
DNPの「AI職員」とは?
「AI職員」は、DNPが独自に開発した「DNPドキュメント構造化AI」という技術を活用しています。このAIは、自治体が保有する情報を構造的に整理・学習させることで、データの整備が不要になり、業務の負担が軽減されます。このサービスは、従来の職員が行っていた問い合わせ対応の一部を担うことで、受け付け時間を気にせず、即座に住民サービスを提供することを目的としています。
直面する課題とその解決策
DNPが「AI職員」を導入する目的は、自治体が直面しているいくつかの課題を解決することです。
1.
問い合わせ件数の増加: 電話や窓口での問い合わせが増え、それに伴い自治体職員の負担が大きくなっています。
2.
対応職員の不足: 繁忙時間帯には十分な職員が配置されず、住民は長時間待たされることがあります。
3.
質のバラつき: 職員の知識や経験の差により、問い合わせ対応の品質にムラがあります。
4.
学習負担: AIに必要な情報の整備が求められ、それが負担となっているのです。
これらの課題に対処するため、DNPは江戸川区で2025年2~3月に「AI職員」の実証実験を行いました。この結果、AIが問い合わせ内容に応じた情報提供を行える機能が確認され、さらなる改善のためのフィードバックを得ることができました。
「AI職員」の特長
DNPの「AI職員」には特徴的なポイントがあります。
- - 高精度の回答: 自治体の情報を連携し、構造化AIによってデータを変換することで、誤回答を減少させ、高精度の回答が可能になります。
- - 専門相談へも対応: DNPは専門知識を持つAI相談サービスの開発も進めており、「AI職員」への機能追加により、より詳細な専門的な問いにも応じられるようになります。
- - 多言語対応: 日本語を話せない住民への対応も可能で、適切な言語で情報提供することにより、多様な住民を支援します。
提供価格と今後の展開
「AI職員」の提供には初期費用が300万円(税込)から、月額の運用費が26.5万円(税込)からとなっています。また、AIの学習量に応じて費用が変動します。このサービスの導入に興味がある自治体は、個別に見積もりを受けることができます。
DNPは、AIによる総合案内の向上や相談サービスの充実を目指しており、さらに多くの自治体にこのサービスを提供することで、地域課題の解決を図ります。今日の社会の変化に適応し、住民と行政との新しい関係を築くことを目指しています。さらに、民間企業へのマーケティング支援にもこのAI技術を活用し、それぞれのニーズに合わせたサービスを展開していく予定です。
DNPのXRコミュニケーション事業
DNPは2021年からの「XRコミュニケーション事業」を通じて、リアルとバーチャルを行き来できる新しい体験提供を行っています。メタバースを活用した地域活性化や行政サービスの向上に努めており、今後も多くのパートナーと協力しながら、多様な価値を創造していきます。