9月1日問題をめぐる家庭と学校の新たな挑戦
2025年8月21日、埼玉県さいたま市の花まるグループお茶の水教室で、子どものメンタルヘルスをテーマにした説明会が開催されました。この会では、高濱正伸代表と、精神科医の蟹江絢子氏が登壇し、長期休みの後に現れる「9月1日問題」という特有の課題に対処する方法を語りました。
9月1日問題とは?
9月1日は、長期休暇から学校に戻る際の心理的プレッシャーが著しく、過去には多くの自殺が報告されています。特に、9月や4月には自死が目立つ傾向があり、これは児童生徒における生活リズムの崩壊や、学校への適応の難しさが影響しています。今年度の不登校児童生徒数は34万人を超え、前年度比で15%増加しています。このような背景から、メンタルヘルスへの配慮が一層重要視されています。
家庭におけるアプローチ
蟹江氏は、家庭内で「自殺」というシリアスなテーマをオープンに話すことの重要性を強調しました。具体的には、以下の取り組みが有効とされています。
1. 子どもと「自殺」や「生と死」について話す
2. 「死にたい」と感じているかを定期的に確認
3. 家庭内でのサポートをするための「合言葉」を決める
4. 子どもが救われる場所や安心感を提供
5. 自分以外の大人との関係を広げる
これらの方法を通じて、早期のSOSを可能にする環境作りが目指されています。
子どもたちのレジリエンスを育てる
さらに、現代の子どもたちは、親の過保護によって失敗や挫折の経験が少なくなっています。これがメンタルに悪影響を及ぼし、自分を守る力が養われていない原因ともなっています。小さい頃からの野外体験や合宿は、これを克服するための重要な要素であり、ここでの経験が将来的な成長の基盤となります。
親のメンタルヘルスとサポート
高濱氏は、親の精神的負担や孤立が子どもに与える影響についても言及しました。孤育てという現象が広がり、親が支え合うためのコミュニティの形成が求められています。また、デジタルデトックスの重要性も指摘され、素晴らしい経験を共にすることが子どものメンタルを安定させるための鍵であるとされています。
受験勉強の新たな視点
受験という大きなイベントを迎える中で、親子でのコミュニケーションが欠かせません。高濱氏は、「結果」ではなく「プロセス」を評価することの重要性を強調しました。これに基づき、花まるグループは多様な教育スタイルを提供し、個々の家庭に合った学びをサポートしています。
未来への提言
成長における問題解決に向け、学校と家庭、民間が連携して子どものサポートに取り組むことが必要です。花まるグループは、これからも親子でのコミュニケーションを深め、地域で子どもを育てる環境を創出することを目指していきます。これにより、より多くの家庭が安心して子どもを育てることができる未来が築かれることを期待しています。
登壇者プロフィール
- - 高濱 正伸:花まる学習会の創設者であり、教育に対する深い知識と経験を持つ。
- - 蟹江 絢子:子どものメンタルヘルスに特化した精神科医として、多くのメディアにも露出している専門家。