鉄道ファン必見のデジタルラリーが示すNFTと鉄道の新たな未来

2024年3月、JR系グループの4社は「ecw＋プロジェクト」を立ち上げ、鉄道ファン向けに新たなデジタル体験を提供しました。このプロジェクトの一環として、2025年2月1日から3月15日まで、東名阪エリアで「ICカード・デジタルラリー」を実施しました。この取り組みは、交通系ICカードを活用して鉄道車両をモチーフにした限定のデジタルアイテム（NFT）を得ることができるというものです。

デジタルラリーの概要と参加者の反応

このキャンペーンには3,418名が参加し、合計3,954回のICカードタッチが記録されました。約1,000個のNFTが発行され、参加者の満足度は84.6%に達しました。特に注目されるのは、参加者の70%がこの機会を通じてNFTに初めて触れたことです。日常の動作であるICカードのタッチが、NFTやWeb3の世界への重要な入り口として機能したことが示されています。

デジタルラリーは、鉄道の魅力を引に立たせるコンテンツであり、親しみやすい鉄道のIPを活用することで、NFT未経験者の興味を引きました。「集める」といったゲーム性の要素は、参加者にとって魅力的でした。この体験は、NFTの価値を直感的に理解する助けとなったといえるでしょう。

Web3技術との融合

BIPROGY株式会社の協力を得て、パブリックチェーンを用いたデータ分析が行われました。NFTの取得者の行動や嗜好が可視化され、特にWeb3ウォレットの開設率は15.1%でした。今後は、利用者がより簡単にウォレットを開設できるような仕組みの強化が求められます。

NFT普及への道筋

この施策を通じて明らかとなったのは、鉄道IPとラリー形式が補完し合い、NFT未経験層の心理的障壁を下げたという点です。また、施策参加者のアンケート結果では、「鉄道が好きだから」と答えた人が62.2%と最も多く、鉄道IPの強さが際立ちます。一方で、改善すべき点としては、キャンペーン期間の延長や対象エリアの拡大があることもわかりました。

今後、JR系グループの4社はこのプロジェクトを通じて得た知見を活かし、Web3技術のさらなる普及を目指すとともに、異業種とのコラボレーションによる新たな体験を提案する方針です。鉄道とデジタル技術の融合は、今後の鉄道ファンにとって魅力的な体験を提供する大きな可能性を秘めています。参加者の行動データがどのように活用されるのか、その目が離せません。これからのデジタル鉄道体験に、多くの注目が集まることでしょう。