スポーツとデジタルが作り出す未来の防災力
2025年7月30日、東京ビッグサイトで開催された「産業DX 総合展」では、特別講演セッション「市民参加とデジタルで支える街の防災力、インフラ力 ~B.LEAGUE協働を例に~」が実施されました。このトークセッションでは、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)の櫻井うらら氏、インフロニア・ホールディングスの井上千鶴氏、scheme vergeの嶂南達貴氏が登壇し、ファシリテーターとしてSORABITOの青木隆幸氏がサポートしました。
このセッションは、スポーツ、インフラ、デジタル、建設という異なる領域が一堂に会し、防災に関する新しい可能性を探る場となりました。特に、「防災」がキーワードに設定され、各分野の専門家がそれぞれの視点から意見を交換。今後の取り組みの方向性を示唆する意義深いセッションとなりました。
地域貢献と参加型防災活動
櫻井氏は、B.LEAGUEの地域貢献プログラム「B.Hope」について紹介しました。このプロジェクトは、ファンが積極的に地域の防災に参加できる取り組みであり、具体的には防災の視点で街を歩き、課題を検出し、認識を広める活動です。さらには、アリーナを拠点にした避難経路の見直しも行い、スポーツとともに日常生活に防災意識を根付かせることを目指しています。
顔が見える関係性の重要性
井上氏は、過去の能登半島地震での対応経験を踏まえ、「顔が見える関係性」の重要性を強調しました。このように、市民とインフラが密接に関連し、互いの理解を深めていくことが、災害に対する備えにおいて不可欠であると論じました。また、B.LEAGUEとの協業を通じて、市民がインフラに興味を持つ新しい仕組みづくりに向けた考え方も披露されました。
デジタルを活用した防災の具体例
次に、嶂南氏はアプリ「Horai」を使用したプロジェクト「防災Assist Map」を紹介しました。このプロジェクトは、ファンが防災の観点から街の課題を投稿し、それをAIで分析することで、市民目線でのニーズを可視化する取り組みです。このようなデジタル技術の活用は、未来の防災活動において非常に有意義であることが示されました。
建設機械の融通による防災力強化
ファシリテーターの青木氏は、一般開放プロジェクト「カリモ」を紹介。この取り組みでは、災害時に必要な道具を特別な資格なしで使用できるようにし、普段から使い慣れておくことで防災力を高めることを目指しています。これもまた、平時からの備えの重要性を教えてくれる事例です。
参加者の熱気が感じられるトーク
登壇者たちは、それぞれの分野の知識と経験を持ち寄り、「防災」に関する新しいモデルを市民と共に考える構想を熱く語り合いました。これまでの枠にとらわれない発想をもとに、スポーツとデジタル、インフラと防災を結びつけた新たな取り組みに期待が高まるばかりです。このトークセッションの詳細や、各登壇者のコメントについては、
こちらからご覧いただけます。
このトークセッションを通じて感じられたのは、多様な視点からのアプローチが、新しい防災モデルを生み出しうる可能性を秘めているということです。今後も、各分野が連携し、市民と共に新しい取り組みを進めることで、より安全な未来が築かれることを期待しています。