株式会社ispace(東京都中央区)とインドの小型衛星技術企業HEX20Lab India Private Limited(HEX20)は、将来の月周回軌道への衛星輸送に関する覚書を締結しました。この発表は、イタリアのミラノで開催中の第75回国際宇宙会議(IAC)で行われました。両社の代表者が顔を合わせ、月面探査に向けた新たなビジョンを共有しました。
今回結ばれた覚書は、ispaceの月着陸船を使用してHEX20のキューブサットを月周回軌道に打ち上げ、展開するための協業に向けた第一歩です。ispaceは2023年10月に、インドの新興企業Skyroot Aerospace Private LimitedおよびHEX20の親会社であるオーストラリアのHex20 Pty Ltdとともに、将来的な月周回衛星ミッションの需要を創出するための共同サーベイを行う覚書にも署名しています。
ispaceのCEOである袴田武史は、月周回軌道での衛星とそのインターフェースの整備が重要であり、キューブサットがその中で果たす役割を強調しました。彼は、HEX20との協業を通じて具体的なコンセプトの実現を期待しています。一方、HEX20のロイド・ジェイコブ・ロペスCEOも、ispaceとのコラボレーションが地球周回軌道を超える新たな展開を意味しており、信頼性の高い衛星プラットフォームを提供する使命において画期的であると語りました。
ispaceは、2024年12月には日本法人が主導するミッション2を実行予定であり、2026年には米法人主導のミッション3、さらに2027年には新しいシリーズ3ランダーを用いたミッション6を計画しています。これらのミッションは、世界中の政府や企業、教育機関からの高まりつつある需要に応えるための重要なステップとなるでしょう。
HEX20は、インドとオーストラリアに拠点を持ち、小型衛星向けの費用対効果の高いプラットフォームやカスタマイズされたハードウェアを提供する企業であり、特に地球低軌道(LEO)やシスルナ空間での商業用途に力を入れています。ispaceとHEX20の提携は、月探査においても新たな可能性を秘めており、今後の動向が注目されます。
この流れは、民間企業が月での活動を展開するための大きな一歩と言えます。宇宙ビジネスに参加する企業が増え、月面での資源開発や研究が進むことで、人類の生活圏が徐々に広がっていくことが期待されています。特に、月でのデータサービスや輸送サービスを提供することで、宇宙関連産業全体の成長にも寄与するでしょう。