AI技術を駆使した要件定義の新時代、ROUTE06とKikuviの協業

要件定義の新たな幕開け

日本国内の要件定義市場は、驚異の約5兆円に達しており、その領域はシステム開発の中でも特に多くの工数とコストが発生しています。しかし、要件定義の質は長い間、「人」に依存してきました。特に、その出発点となる「現場ヒアリング」の精度が、プロジェクト全体の成功を左右するのです。要件定義AI「Acsim」を提供する株式会社ROUTE06（以下、ROUTE06）と、AIヒアリングエージェント「Kikuvi」を持つKikuvi株式会社（以下、Kikuvi）が、これらの課題を解決するためにサービス連携を開始しました。

協業の背景と目的

要件定義は、高い専門知識を要求される知的作業であり、担当者の経験やスキルに大きく依存します。そのため、ヒアリングの結果には大きなばらつきがあり、品質や速度の不均一性が問題視されています。この属人化は、初期段階での認識齟齬や抜け漏れを引き起こし、後の工程において手戻りや追加コストを生むこともあります。

この状況を打破するべく、ROUTE06とKikuviは協業を実現しました。両社の技術と知見を統合し、ヒアリングから要件定義までのプロセスをAIの力で一貫して支援します。その結果、現場の声を正確に引き出し、構造化して要件に落とし込むことができるようになります。

協業の詳細と内容

ROUTE06が提供するAcsimと、Kikuviのデータを連携させることにより、ヒアリングから要件定義へとシームレスに接続します。Kikuviは、必要なテーマや方向性を設定するだけで、AIが最適な質問を自動生成し、対象者に対して非同期でヒアリングを行います。得られた回答は自動的に整理・分類され、構造化データとして出力されるのです。

その後、AcsimはKikuviが生成した構造化データを活用し、課題の抽出やソリューション提案、設計、稟議支援までを一気通貫で行います。これにより、担当者のスキルにとらわれず、誰でも高品質なヒアリングから要件定義までを行えるようになります。

今後の展開と期待

両社は、2025年内に共同PoC（Proof of Concept）の実施と企業向け導入支援プログラムを開始する予定です。この運用を通じて、それぞれの業界特性に応じたヒアリング態様や要件定義の最適化を進め、高品質な要件定義を実現する環境を構築します。

また、プロセス全体の自動化を目指した共同開発も進行中で、AIによる要件定義の精度向上を支援する仕組みの開発が見込まれています。この活動によって新しい標準モデルを確立することで、より効率的な開発体験を提供できるでしょう。

企業のビジョンとコメント

ROUTE06の取締役、松本均氏は「AcsimにKikuviのヒアリング技術を組み合わせることで、現場の声を正確に構造化し、非効率な開発工程を改善できることが期待されます」と述べています。

一方、Kikuviの代表取締役社長、佐藤拳斗氏は「要件定義におけるヒアリングは属人的で、これをAIで仕組み化することで、誰でも一定の品質で現場の声を引き出せることが可能になります」と語っています。

AcsimとKikuviの紹介

Acsim（アクシム）は、要件定義に特化した生成AIプラットフォームで、さまざまなプロジェクトをサポートします。要件定義の全プロセスを自動化し、データを解構し、将来の開発に役立つ情報を提供します。

一方、Kikuvi（キクヴィ）は、ヒアリングをAIで自動化することで、従来の属人的なプロセスを再定義し、効率的かつ高品質な業務フローを実現します。両者の連携は、今後のプロジェクト成功に大きく貢献するでしょう。