IHIとGE Vernovaによるアンモニアガスタービン開発
株式会社IHIとアメリカのGE Vernova Inc.は、兵庫県相生市のIHI相生工場に大型燃焼試験設備(LCT)を新たに設置し、将来的なエネルギー転換に向けた重要なプロジェクトが始動しました。このプロジェクトは、GE VernovaのF型ガスタービンを利用し、燃料を100%アンモニアに転換する新たな燃焼システムの実用化を目指しています。2030年までの実用化を目指すこの試みは、脱炭素社会の実現に向けた意義深い一歩と言えるでしょう。
アンモニアを燃料とする性能
新設されたLCTは、GEVのF型ガスタービンに必要な圧力、温度、空気・燃料流量などの条件で、実機サイズの燃焼器を用いた燃焼試験を行うために設計されています。この設備を用いることで、アンモニアを燃料とした新しい燃焼システムの開発が加速されるのです。IHIの執行役員であり、事業開発統括本部副本部長の山本建介氏は、LCTが燃焼器開発の中心的な役割を果たし、両社の共同開発の重要な拠点となることを強調しています。
環境への配慮
特に注目すべきは、アンモニア燃焼によるCO2の排出ゼロです。この技術は、発電時のCO2排出量を大幅に削減することが期待されており、気候変動への対応として高く評価されています。GE Vernovaのジェフリー・ゴールドミア氏は、今回の発表が脱炭素化を目指す電力業界における技術開発の新たな段階を示すものであると述べています。彼は、今回のプロジェクトが既存の発電設備を活かして脱炭素化に向かう重要な道筋の構築に寄与することを期待しています。
アンモニアの特性
アンモニアは、近年肥料や化学原料などの産業用途を超えて、低コストかつ効率的に水素を運搬・貯蔵できることから、特に注目されています。また、アンモニアには炭素が含まれていないため、燃焼してもCO2を排出しません。これにより、発電に直接利用できる脱炭素燃料としての利用が急速に広がっているのです。
今後の展開
IHIは2025年の夏から、LCTを利用して100%アンモニア燃料による燃焼試験を開始する予定です。これにより、技術開発はさらに加速し、2030年までの商業化に向けた挑戦が続いていきます。米国サウスカロライナ州グリーンビルにあるGEVの最先端燃焼試験設備で培った技術とノウハウが、日本のIHIと合わさることで、より効率的で持続可能なエネルギーソリューションの実現が期待されています。
IHIとGE Vernovaによるこのエネルギー開発の試みは、持続可能な未来を築くための重要なステップです。両社の連携が、技術革新とともに現実のものとなる日を待ち望むばかりです。