遺伝子細胞製剤の製造を革新する「CytoFactory4.0™」
株式会社サイト-ファクトが、遺伝子細胞製剤製造に特化したクラウド型統合製造管理システム「CytoFactory4.0™」(以下、CF4.0)のバージョン1を新たに発表しました。このシステムは、製造現場の電子化やデジタル化が遅れている現状を反映し、特にデータインテグリティや品質管理、コスト効率を改善するために設計されています。
開発の背景と課題
遺伝子細胞製剤(Advanced Therapy Medicinal Products, ATMP)の普及が進む中、製造現場では多くの問題が未解決のまま残されています。特に、製造記録は依然として紙媒体や手書きで管理されているため、何百ページにも及ぶ記録を人力で処理する必要があります。この作業は膨大な時間と労力を消費し、ヒューマンエラーのリスクを高めています。
また、細胞製造は患者から採取した細胞を用いるため、プロセスは非常に複雑で、他の医薬品製造とは異なる特性を持ちます。しかし、従来の製造管理システムはこれに十分に対応しておらず、高額な導入費用や運用負担が課題とされていました。このような背景から、実際の製造に即したシステムが必要とされていたのです。
CF4.0のリリースと展開
「CytoFactory4.0™」のバージョン1は、まず自社の製造拠点に導入し、運用を通じて実証と改善を行った後、2026年からは製薬会社やCDMO、アカデミアに向けて順次展開していく予定です。
このシステムは、すでに多くの国内外企業が導入しているLiteMESシステム「BatchLine」を基にしており、株式会社サイト-ファクトは日本での販売代理店として導入サービスを提供しています。これにより、製造業務の電子化を加速し、業務の見える化と効率化を図ります。
主要機能と特長
「CytoFactory4.0™」の主な特長としては、以下の点が挙げられます。
- - 業務の見える化と効率化: クラウド環境で生産データや品質管理を一元管理、業務の可視化を実現します。
- - デジタル化によるコスト削減: 人手による作業を削減し、品質やスピード、コストを最適化します。
- - 導入の容易さ: SaaS形式で運用されるため、初期投資が少なく、保守や管理の負担も軽減されます。
- - データ統合管理: IIoTインターフェイスにより、製造・試験機器、設備をつなぎ、データを統合的に管理します。将来的にはこのデータを基に分析を行い、さらなる改善につなげることができます。
- - 専門家によるサポート: サイト-ファクトのスタッフが、導入や運用に関するサポートを行い、顧客のニーズに応じたサービスを提供します。
展示会情報
なお、CF4.0は2025年7月9日から11日まで東京ビッグサイトで開催されるインターフェックスWeek東京/再生医療EXPOに出展予定です。この展示会では、「CytoFactory4.0™」の機能を体験できるブースを設置し、デモンストレーションや導入相談も行います。興味のある方はぜひお立ち寄りください。
未来に向けた展望
株式会社サイト-ファクトは、革新的な遺伝子細胞製剤を必要とする患者に届く社会を目指して、より効率的で高品質な医薬品の製造を行うため、今後も継続的にソリューションを開発・提供していくことを宣言しています。遺伝子細胞製剤の可能性を広げる新たなステージに期待が高まります。