無形資産が地域の生産力に与える影響とは？新たな研究結果が示す可能性

無形資産と地域の生産力に関する新たな研究

最近、内閣府の経済社会総合研究所から、無形資産が社会資本の生産力に与える影響についての論文が発表されました。この研究では、社会資本のデータや地域間産業連関表を駆使し、無形資産の重要性を新たな角度から明らかにしています。

研究の背景と目的

社会資本とは、一般に道路や学校、公園などのインフラストラクチャーを指し、地域の経済活動に大きな影響を与えています。近年、無形資産、つまり知識や技術、ブランド価値などが、この社会資本とどのように相互作用するのかが注目されています。この研究では、特に公的な無形資産が社会資本の生産力効果に及ぼす影響を探求し、その結果を地域産業の観点から評価しています。

研究方法

この研究では、日本の社会資本に関するデータ、都道府県別産業生産性データ、地域間の産業連関表を利用しました。特に、都道府県間の取引量を重視し、それぞれの地域が経済に与えるスピルオーバー効果を計測する手法が新しいアプローチとして高く評価されています。

研究の発見

研究の結果、地方の公共部門における無形資産の比率は、民間部門や都市部と比較して増加していないことが分かりました。また、社会資本を含めた生産関数からの推計では、社会資本の外部性に関しては有意な結果が得られませんでしたが、全国的な無形資産の増加は生産性向上の効果をもたらしていることが新たに確認されました。

特に、東日本大震災や熊本地震の復旧プロセスにおいて、社会資本が持つ生産力を向上させる役割が際立っていることも指摘されました。これにより、公的な無形資産の蓄積が重要であることが再認識されました。

結論と政策的インプリケーション

この研究は、無形資産の重要性を広く訴えかけています。特にCOVID-19パンデミックの際に公的なデジタル化の必要性が浮き彫りになったことを踏まえると、公的部門でも無形資産の蓄積が急務であると示唆しています。

無形資産が地域の生産性や競争力を高める要素であるとともに、地域の公共インフラが効果的に機能するためには、それに付随する知識や技術も不可欠であるということが、今後の政策形成において重要なポイントとなるでしょう。

このような観点からも、地域発展のための戦略を見直す必要性が高まっています。今後、無形資産に対する理解を深め、その作用を最大限に活用するための施策が求められるでしょう。