ロレアル日本研究所が画期的な化粧品評価法を発表!
新たな化粧品評価方法を導き出したロレアル日本研究所
世界有数の化粧品メーカーであるロレアルグループの日本における研究開発部門、ロレアル リサーチ&イノベーション ジャパンが新たな研究成果を発表しました。所長のアミット・ジャヤズワルが指導するこの研究所に所属するアーロン・ピング氏は、化粧品の官能評価を科学的に予測する新たな手法を開発しました。その手法とは、データに基づいて消費者の使用感を予測する「ベイジアンブートストラップ法」です。この研究成果は、2024年11月14日に国際的科学誌『Frontiers in Analytical Science』に掲載される予定です。
新たな評価手法の背景
化粧品の開発プロセスでは、新製品の処方が従来さまざまな手法で評価されていますが、最終段階では専門家による官能評価が行われます。官能評価を経て選ばれた処方は、その後、消費者を対象にしたブラインド・ユーズ・テスト(BUT)が実施され、実際の使用感や性能が評価されます。
本研究では、ロレアルが2018年から2021年にかけて中国とスペインで実施したBUTの結果を、官能評価のデータをもとに予測しました。このデータポイントは過去に取得された400件の官能評価データを基盤としており、その成果を6300件のデータで検証しました。
ブートストラップ技術による精度向上
研究結果によると、アーロン・ピング氏のチームは「皮膚が呼吸する感じがする」という評価項目を、官能評価から得た「滑らかさ」「浸透する感じ」「脂っぽさ」といったデータから高精度で予測することに成功しました。従来の平均値を使ったアプローチと比較して、ブートストラップ方式の予測が統計的に有意であったと報告されています。この成果は、少ないデータからも高い精度での評価が可能であることを示しています。
この新しいアプローチは、サンプルサイズが小さくともリスクを軽減しつつ、より多くの情報を活用することで、効率的な製品開発サイクルを実現する可能性があります。特に、費用がかかるBUTへの依存を減らすことができ、開発プロセスのコストを大幅に削減できると考えられます。
日本における化粧品開発の最前線
ロレアルの日本における研究開発は1983年から始まり、現在では川崎市に位置するロレアル リサーチ&イノベーションセンターが中心となっています。このセンターは、ラグジュアリーブランドを含む多様な製品の開発を進める戦略的イノベーション拠点としての役割を担っています。
ここには200名以上の研究員が在籍し、日本の文化や消費者のニーズを深く理解しながら、新しい製品の開発に日々取り組んでいます。特に注目すべきは、ランコムやシュウ ウエムラ、イヴ・サンローラン、メイベリン ニューヨークなど、ロレアルグループの名だたるブランドが関わっている点です。
総括
この新研究の発表は、化粧品業界における評価手法に一石を投じるものとなるでしょう。ロレアルの革新は消費者にとっても、より魅力的で効果的な製品が市場に出回るきっかけを作るに違いありません。日本における研究開発の果敢な挑戦が、世界の化粧品業界にどのような影響を与えるか、今後の動向に注目です。
会社情報
- 会社名
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日本ロレアル株式会社
- 住所
- 東京都新宿区西新宿3-7-1新宿パークタワー
- 電話番号
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