アート界の環境問題に向き合う新たな取り組み
近年、気候変動が世界中で深刻な課題として浮上しています。アート界でも持続可能な取り組みが求められ、注目されています。特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT)が運営するアート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(ACCJ)がこのたび、アートセクターに向けた新たな取り組みとして「Green Circle」を発足しました。このネットワークは、環境問題に関心を持つアートの関係者が集まり、専門知識や実践を共有する場を提供します。
Green Circleの目的
「Green Circle」は、気候科学や環境分野の研究者、アート専門家、ギャラリーの代表者らが参加し、持続可能なアートの実践を推進することを目的としています。参加者たちは、アートと環境に関する知見を深めつつ、具体的な行動を組織的に進めていくことが期待されています。このネットワークにより、アートの現場で実際に何ができるのか、様々な視点から提案することが可能になるでしょう。
環境に配慮した美術梱包の手引き
ACCJはまた、環境に優しい美術梱包のためのマニュアルの日本語版を公開しました。このマニュアルでは、美術作品の輸送や展示において、使用する梱包材が環境に与える影響と、持続可能な梱包方法が具体的に示されています。内容に含まれる「環境配慮の10ステップ」は、アートの関係者全てが参考にできる実践的な資料であり、多様な立場の人々が自らできる行動を見つけられるように工夫されています。
カーボンフットプリント計算ツールのリニューアル
さらに、ACCJではアート活動に伴うカーボンフットプリントを把握するためのツールを提供しています。新たにリニューアルされた「GCCカーボン計算機」は、アートセクターに特化したオンラインツールで、使用開始が簡単で、より正確な計算結果を提供します。これにより、各組織は自らの活動の環境影響を数値化し、さらなる対策を講じる手助けになります。
国際的な取り組みへの連携
AITは国際的な団体である「ギャラリー気候連合(Gallery Climate Coalition、GCC)」のアクティブメンバーとして認定されています。この団体は、2030年までにアートセクターの温室効果ガス排出量を50%削減し、ゼロウェイストを推進することを目指しています。ACCJの活動は、Tate やMoMA、Art Baselなど、世界的に名高い美術館と連携しながら進められています。
今後の展望
ACCJは、アートセクターの環境問題に対する意識を高めるため、今後もさまざまな活動を予定しています。例えば、シンポジウムや勉強会の開催、ポッドキャストの展開など、積極的にコミュニケーションを図りながら、持続可能なアートセクターの実現を目指します。
このように、アート界における気候変動への取り組みは新たなステージを迎えています。環境問題を意識したアートの取り組みが今後ますます広がり、持続可能な社会を構築するための一助となることが期待されます。