資生堂DE&Iラボの実證研究が示す女性活躍とジェンダーバランスの課題
資生堂DE&Iラボの実證研究が示す女性活躍とジェンダーバランスの課題
資生堂が設立した「資生堂DE&Iラボ」は、組織のダイバーシティとインクルージョンの推進を目指して、研究活動を行っています。最近、このラボが公表した実証結果が注目を集めています。特に「女性活躍からジェンダー平等へ」というテーマに焦点を当て、組織内のジェンダーバイアスの実態を探求しました。
資生堂は早期から女性の活躍推進に取り組み、上司や本人の意識改革、働き方の見直し、雇用慣行の改革を実施してきました。その成果として、現在、国内資生堂グループの女性管理職比率は40%以上を達成しています。しかし、依然として一部の組織では女性管理職の割合が低く、特に男性が担う役割が多い実態が存在します。これらの問題を解決するために、東京大学の研究チームと協力し、統計的因果推論の手法を用いてジェンダー不平等の要因を究明しました。
2024年4月に発表された前編の結果では、成果を上げる能力に性別の差は見られなかったものの、難易度の高い役割を担う確率が男性に偏っていること、また特定の職位において男性上司が女性部下よりも男性部下に高い評価を下す傾向があることが明らかになりました。これは、アンコンシャスバイアスが影響している可能性が高いと考えられています。後編ではこのバイアスに注目し、組織全体での課題であることを突き止めました。
さらに、観察されたデータによれば、女性がより高い男女平等意識を持ちながらも、同時に自身の「女性らしさ」や「男性らしさ」に縛られていることが浮き彫りになりました。このような二重のプレッシャーが、女性の活躍を制限する要因となっていることが指摘されています。また、女性管理職の比率が極端に低い組織では、アンコンシャスバイアスが強くなる傾向があるため、男女ともにバランスを取ることが重要であるとされています。
この研究が示唆するのは、「バイアスは特定の個人の問題ではなく、組織全体の問題」という点です。資生堂は今後、以下のようなアプローチで真のジェンダー平等に向けて前進していくことを提唱しています。
1. ジェンダーバランスの均衡を図る
組織のリーダーシップにおいて多様な視点を持つことが重要です。男女の比率を均衡させ、同質性を解消することで、より豊かな意見が集まる環境を作り出すことができます。
2. 全社的なアプローチ
特定の層だけでなく、組織全員で課題に向き合う文化を構築することで、多様な意見を尊重し合うことが可能になります。こうした環境が偏見をなくし、新たな視点を受け入れる力を育てます。
3. 継続的な検証
定期的に組織内のバイアスをチェックし、それに基づいた改善策を練ることが求められます。こうした取り組みが、DE&Iの理念を組織文化として根付かせる糸口となります。
これらの施策を通じて資生堂が目指すのは、すべての社員が自らの能力を最大限に発揮できる環境の構築です。DE&Iラボは、今後も組織の変革に向けた研究を続けていきます。日本社会全体のジェンダー平等に向けて、資生堂は教育や意識改革を通じて貢献していく所存です。
さらに、「資生堂DE&Iラボ」は、日本の課題である女性活躍とジェンダー平等をテーマとした調査をもとに、多様な人材が活躍するための環境を作り出すべく、さらなる研究を進めていきます。今後の展開にも期待が寄せられます。
会社情報
- 会社名
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株式会社資生堂
- 住所
- 東京都中央区銀座7-5-5
- 電話番号
-
03-3572-5111