妊婦と温泉入浴
2020-11-02 09:00:05
妊婦の温泉入浴がもたらす安全性と健康効果についての調査
近年、妊婦が温泉に入浴することの安全性に関する研究が進められています。一般社団法人日本温泉気候物理医学会の調査によると、大分県別府市と鹿児島県指宿市で、1,723名の妊婦を対象に温泉入浴と医学的トラブルの関連が調査されました。調査の結果、妊婦が温泉入浴を楽しむことの安全性が証明されたことが大きな注目を集めています。
調査の背景
以前、妊娠中の温泉入浴は、環境省が制定した「温泉法」に基づき禁忌とされていました。しかし、最新の医学的見解を反映した結果、2014年には妊婦の項目が温泉法から削除されました。これによって、妊娠中の温泉入浴が科学的根拠に乏しい禁忌症から解放されましたが、一般の認識は必ずしも付いてこなかったのが現状でした。
調査の方法と結果
調査は2016年から2018年にかけて行われ、妊婦の温泉入浴の頻度と産科的トラブルの発生についてデータが収集されました。その結果、妊婦の約80%が妊娠中に週に1回以上の温泉入浴を行っていることがわかりました。
興味深いことに、温泉入浴が産科的トラブルの発生率を高めないことが確認されました。具体的には、妊娠後期において温泉入浴群では産科的トラブルが少ない傾向が見られました。流産や早産に関しても、温泉入浴がそれらを増加させることはなく、逆に入院治療を必要としたケースが少なかったと報告されています。
主な調査結果の要点
1. 妊娠初期、中期、後期それぞれで、温泉入浴による産科的トラブルは増加しなかった。
2. 妊娠後期では、温泉浴をする妊婦は産科的トラブルの発生が有意に少なかった。
3. 妊娠中期と後期では、温泉入浴群の中で入院治療を必要としたケースが非温泉入浴群よりも有意に少なかった。
4. 高血圧に関連したトラブルについても、温泉入浴群での発生率は低いとの結果が出た。
今後の展望
この調査は、妊婦は温泉入浴を楽しむことができるという新たな情報を提供します。多くの妊婦が抱えている温泉への不安を払拭するため、今後も適切な情報を提供することが重要です。妊婦がリラックスして入浴できる環境を整えることにより、マタニティライフをより充実させる助けになるでしょう。
妊婦さんに温泉入浴の楽しさを伝え、安全を第一に、心身をリフレッシュしてもらえるような啓発活動が求められています。佐賀県や長崎県を含む多くの温泉地域で、妊婦向けのプログラムやサービスを充実させることも今後の課題です。
おわりに
妊娠中の入浴は心身に良い影響を与える可能性がありますが、体調に合わせて行うことが大切です。温泉によって心と体をほぐし、よりよいマタニティライフを実現していきましょう。適切な情報提供と環境整備によって、妊婦の温泉入浴が広く受け入れられることを期待しています。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人日本温泉気候物理医学会
- 住所
- 東京都中央区銀座8-17-5アイオス銀座705号室
- 電話番号
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03-3541-0758