住友林業がウッドデザイン賞2024で奨励賞を受賞、木造人工衛星と耐震実験が注目される

住友林業、ウッドデザイン賞2024で輝く

住友林業株式会社（社長：光吉敏郎）が、木造人工衛星「LignoSat」と10階建て木造実大振動台実験プロジェクト「NHERI TallWood Project（住友林業検証フェーズ）」の2つの事例で、惜しくも奨励賞（審査委員長賞）を獲得しました。このから奨励賞を受賞したのは3年連続の快挙です。この模様は2023年12月4日に東京ビッグサイトで行われた表彰式で華々しく発表されました。

木造人工衛星「LignoSat」

「LignoSat」は、住友林業と国立大学法人京都大学が共同で開発した、約4年の研究期間を要した木造人工衛星です。この衛星は、NASA/JAXAの厳しい安全審査を通過し、世界初の木材活用が宇宙で公式に認められた例となります。主に、北海道紋別のホオノキ材を使用したパネルで構成され、立方体の小型衛星「キューブサット」として設計されています。そのパネルの厚さは最小4.0mmから最大5.5mmです。

宇宙環境での木材利用は、持続可能性の観点からも重要です。従来の金属製衛星では、大気圏再突入の際に微細な粒子を放出する可能性がありますが、木材は焼却時に温室効果ガスの発生が抑えられ、より環境に優しい選択肢となります。このことは、今後の木造人工衛星の普及に寄与する重要な一歩です。

NHERI TallWood Projectの重要性

住友林業が行った「NHERI TallWood Project」は、米国カリフォルニア州のカリフォルニア大学サンディエゴ校で実施された10階建て木造ビルの振動台実験を基にしています。住友林業は、この実験結果を国内の建築基準に合わせて検証し、阪神・淡路大震災と同等の大地震に耐える耐震性能の高さを確認しました。

このプロジェクトによって、中高層木造建築に対する耐震性能の信頼性が大きく向上し、構造設計の現場での木材利用が一層推進されることが期待されています。

未来に向けた取り組み

住友林業は、2030年を見据えた長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を掲げ、CO2吸収を促進し、持続可能な木材利用の実現を目指しています。これにより、森林の健康と木造建築の普及を進め、環境保護への貢献を着々と進めています。

最終的には、木材が地球環境に及ぼす影響を軽減し、宇宙での利用も見据えた新しい可能性を示すことが期待されています。住友林業のこれらの成果は、ただの企業活動にとどまらず、木材業界や宇宙開発業界にとっても大きな一歩となります。さらに多くの研究開発を進め、持続可能な未来に向けた道を切り開いていくでしょう。