接客・販売職の求人動向:2025年度上半期のトレンド
circus株式会社が展開する人材紹介プラットフォーム「circusAGENT」では、接客・販売職に関する採用トレンドを調査した。2025年4月から9月にかけての求人データをもとに、求人の状況がどう変化しているのかを分析し、求職者及び採用担当者への情報提供を目指した。
調査の概要
調査対象は「circusAGENT」に掲載された接客・販売職の求人情報であり、主に人材・BPO業界やサービス業界に注目した。実際には、1,963件の求人を対象に職務経験の有無、学歴、年収などのポイントを分析した。
主な調査結果
1. 接客・販売職の求人の「経験不問」傾向
調査によると、接客・販売職全体の77.7%が「経験不問」となっている。この傾向は特に人材・BPO業界に顕著で、なんと93.0%が経験を問わない求人であることが判明。これにより、未経験者でも応募しやすい環境が整っていることが強調されている。
これは、現場運営が多忙を極める中で、経験よりも人材の潜在能力やコミュニケーション能力を重視した採用が進んでいることを反映している。家電量販店や携帯電話販売店など、地域に密着した業務では特にこの傾向が見られる。
一方、メーカー業界では33.6%が「経験者のみ」を求めており、この数字は他業界と比較しても高い。この背景には、即戦力やマネジメント能力が求められる役職が相関していると考えられている。
2. 学歴に関する動向
求人応募にあたる学歴の要件については、57.1%が「学歴不問」であることが示された。特に人材・BPO業界やメーカーでこの傾向が見受けられ、彼らの採用方針は人物面を強く重視する方向に向かっている。同業種での経験や能力があれば高く評価され、学歴に関わらず広く採用されている現実が物語っている。
3. 年収に関する動向
接客・販売職全体の想定年収中央値は380万円であるが、経験の有無により大きな差が見られる。経験者の中央値は480万円、未経験者は375万円とし、経験者の方が高い水準にあることが分かる。この現象は、業界によって顕著で、サービス業界や製造業では400万円を超えているが、人材・BPO業界では315万円にとどまりやや低い傾向がある。
4. 採用コストに関する動向
紹介手数料に関して調査したところ、全体の中央値は50万円、料率は13.2%である。この数字は比較的低い水準であり、接客・販売職独自の報酬体系が影響している。興味深いことに、「経験不問」の求人の料率が「経験者のみ」の求人を上回ることが見受けられた。これは固定報酬制を用いることで表面化した一つの現象である。
総括として
接客・販売職の求人は、「経験不問」、「学歴不問」とする流れが加速している。他方で採用コストの一定性が求められ、その結果、未経験者を対象とする求人の料率が高くなるという逆転現象が起こっている。これにより、企業の戦略的な人材確保のあり方が明らかにされ、特に人材紹介の重要性が増す中で、私たちはさらなる分析を続け、企業と求職者に対する情報提供を強化していく所存である。
今後もこのトレンドを注視し、他の業種との比較を通じて、より包括的な市場動向を提供していくことを目指す。