近年、日本人の中で根強く影響を残すGHQによる洗脳工作を取り上げた書籍『WGIP日本人を狂わせた洗脳工作』が話題となり、4刷を迎えました。この本は、日本のメディアや教育界に息づく思想、特に「日本はアジア諸国を侵略した」「帝国憲法、教育勅語は戦争賛美」「平和の源は憲法九条」といった見解が、どのようにして形成されたのかを探求しています。著者である関野通夫氏は、国際ビジネスマンとしての多様な経験を背景に、GHQによる「WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)」の存在に着目しました。
かつて文芸評論家の江藤淳氏がその著書『閉された言語空間』で語ったように、このWGIPは連合国軍総司令部(GHQ)の内部文書の情報に基づくものであり、その詳細が長らく一般には知らされることはありませんでした。しかし関野氏は、国会図書館における調査を皮切りに専門家と協力し、GHQの内部文書を特定しました。そこには、日本人に対する「洗脳」「検閲」「焚書」などの工作が記載されており、彼はこの重要な情報を世に示すことで、日本の状況を見直すきっかけを提供することを目指しました。
著書は、日本におけるWGIPの認知度が低い現状への警鐘を鳴らしています。現在、WGIPの存在を疑う人々は少なくなりつつありますが、それでもなお、GHQが展開した洗脳政策の影響を受けた認識を持つ人々がいることは否めません。特に、国際社会においては「日本がロシアのように侵攻する」という懸念が強い一方、「日本がウクライナのように攻撃される」といった事態には無警戒であるという実態も浮かび上がっています。このような状況を変えるためにも、国民全体の意識改革が急務であると主張します。
この書籍は、ただの歴史の探索にとどまらず、今を生きる私たちに対しても考えるきっかけを提供します。著者が語るように、現代の社会においても、過去の出来事が見えない形で影響を及ぼすことは少なくありません。私たちが何を信じ、どのように解釈するかは、未来を見据える上で非常に重要です。これからの日本が平和を維持し続けるためには、歴史を理解することが不可欠です。
著者の関野通夫氏は、昭和14年生まれで、東京大学工学部を卒業後、本田技研工業株式会社でのキャリアを積む傍ら、多くの国々での駐在経験を持っています。多文化に触れながら得た視野は、彼の著作によく表れています。放たれる言葉の一つ一つには、彼の経験に基づく深い洞察が込められており、読者は彼の思索の旅に引き込まれることでしょう。