ブルガリとMB&Fの融合が生んだ革新的なセルペンティモデル

1884年に設立されたブルガリは、その卓越したクラフツマンシップと独創的なデザインによって高級時計界での地位を確立しています。特に、彼らの代表作である「セルペンティ」は、イタリアのエレガンスとスイスの精密さを融合させた象徴的なコレクションとして知られています。

一方、MB&F（マクシミリアン・ブッサー＆フレンズ）は、2005年から「時を伝える3次元アート」に挑み、伝統的な時計作りに新たな視点をもたらしてきました。彼らの「オロロジカル・マシン」は、SFやスーパーカー、動物など様々なテーマからインスピレーションを受けた独自の時計を展開しています。

この度、ブルガリのウォッチメイキングの新たな扉が開かれ、MB&Fと再び手を組んだ「セルペンティ MB&F 限定モデル」が登場しました。このモデルは、両ブランドの革新と美しさの象徴であり、2020年から始まった様々なブランドのコラボレーションイベント「ジュネーブ・ウォッチ・デイズ」の延長線上にある成果とも言えます。

デザインプロセスの精密さ

「セルペンティ MB&F 限定モデル」は、1948年に初めて登場した「セルペンティ」を新たに再解釈したものです。ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニとMB&Fの創設者であるマクシミリアン・ブッサーの共同作業によって、圧倒的に複雑なデザインが生まれました。

ファブリツィオによると、このプロジェクトには何百枚ものスケッチや数十点の3Dモデルが必要で、全ての視点からの美しさを追求するために非常に高い集中力が求められました。この時計のデザインは、まるで車を思わせる複雑な曲線を持ち、4つの方向から違った美しさを見せることに挑戦しています。

製造の困難さ

デザインが完成した後は、製造に移りますが、ここでも多くの課題が待ち受けていました。特に、全ての曲線が見事に組み合わさったケースは、機械加工が非常に難しいもので、特にサファイアクリスタル部分の製造は特に困難を伴います。また、防水性を確保することも大きな挑戦でした。

住友精密は、このプロセスがどれだけ複雑であるかを理解するために、ケースの設計と製造には数多くの課題が存在したと述べています。多くのサファイアクリスタルとメタル部品が曲線で成形され、30メートルの防水性を持つための技術的課題を克服しなければなりませんでした。

採用された革新的なムーブメント

このユニークなモデルの中には、MB&F特有の複雑なムーブメントが収められています。「セルペンティ」にもメカニカルな命を吹き込むために、特殊なドームを左右に配置し、時刻表示とパワーリザーブを視覚化しています。そのデザインは、アルミニウムの無垢材から削り出され、スーパールミノバで暗闇でも光る仕掛けになっています。

自動車デザインとの融合

興味深いことに、二人のデザイナーは自動車デザインにも影響を受けており、その要素が随所に表れています。ケースの滑らかな形状や、サファイアクリスタルの詳細なデザインは、まるでスポーツカーのボディを思わせます。これらのデザインは、細かな段差やホイール形状が反映されています。

限定モデルの魅力

今回発表された「セルペンティ MB&F 限定モデル」は、33本限定で、ブルー、レッド、グリーンの各カラーが展開されます。それぞれ独自のデザインと技術を持ち、まさにコレクターズアイテムに相応しい作品です。このコラボレーションは、デザインだけでなく双方のブランドの理念を具現化した、まさにウィン・ウィンのプロジェクトなのです。

MB&Fとブルガリが共同で実現したこの美しい時間を刻む時計は、時計愛好家やコレクターたちを魅了すること間違いなしです。彼らの革新的で魅力的な「セルペンティ MB&F 限定モデル」に填まるのは、時計の楽しみの一環であると言えるでしょう。これからの時計デザインにおいて、彼らの影響は計り知れないものとなるでしょう。