国立大学による多様性と共生を考えるシンポジウムが開催迫る

2025年開催予定のシンポジウムで考える多様性の現状

国立大学附置研究所・センター会議と東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所は、2025年10月4日（土）にシンポジウム『「多様性」をどのように生きるか──複眼的に考える地域の姿』を開催します。これは、言語や文化、政治、社会の多様性についての問題を国内外の研究者が議論し、現代社会が直面している「多様性」と「共生」について考える場です。

多様性と共生の価値

日本社会において「多文化共生」や「多様性の包摂」は、これまで重要な価値観として捉えられてきました。政府や自治体、企業、大学などさまざまなセクターで、これらの理念に基づく取り組みが広がっています。しかし、近年では欧米諸国での反移民感情や国内の社会的分断、人口減少が進行する中で、「公平性」や「包摂」の理念そのものが揺らいでいると言われています。

このような背景の中で、本シンポジウムでは「多様性」を如何に理解し、どのように生きてゆくべきかという問いに対して、参加者全員で考えを深めることを目的としています。それにより、多文化的な社会が抱える問題にどう向き合うべきかを学び合う機会にもなるでしょう。

シンポジウムの内容

シンポジウムのプログラムは以下の通りです。まず、司会役として東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の黒木英充教授が進行します。開会挨拶には東京外国語大学の副学長、中山俊秀氏が登壇し、シンポジウムの趣旨について説明します。

続いて、3名の報告者がそれぞれの専門に基づく発表を行います。まず、品川大輔准教授（東京外国語大学）は「多言語大陸アフリカの語られ方——『普遍的価値』としての言語多様性をめぐるバイアスと現実」について報告します。次に、中溝和弥教授（京都大学）が「多様性とインド民主主義—— 『世界最大の民主主義国』の試練」をテーマに発表し、印度における多様性に関する最新の研究成果を披露します。最後に、永吉希久子教授（東京大学）が「日本において共生は可能か——外国人受け入れをめぐる世論と『寛容』の限界」について述べ、国内の移民に関する問題を考察します。

これらの報告を経た後、ディスカッサントとして高倉浩樹教授（東北大学）が参加し、総合討論が繰り広げられます。この討論の中で、各発表者の意見を元に、特に都市や地域における多様性の意義とその課題についての対話が行われる予定です。