瀬々敬久監督の珠玉の作品『菊とギロチン』が描くアナーキーな青春物語
日本の映画業界において、瀬々敬久監督はその独特の視点と情熱で数々の傑作を世に送り出してきました。その中でも、特に注目を集めるのが2018年に公開された映画『菊とギロチン』です。この作品は、監督自身が三十年前から温めてきた企画であり、長い年月を経てついに形になりました。
混沌とした時代背景と自由を求める若者たち
『菊とギロチン』は、関東大震災直後の混沌とした大正時代を舞台にした物語です。社会が急速に不寛容な方向に向かう中、主人公たちは「自由な世界に生きたい」という強い願いを持っています。唯一の希望である「女相撲」とアナーキスト・グループ「ギロチン社」のメンバーたちが出会い、彼らのそれぞれの夢や闘いを通じて、心を通わせていく姿が描かれています。
主人公の花菊役を演じるのは、新人俳優・木竜麻生。元遊女の十勝川役には韓英恵がキャスティングされています。若者たちの純粋な夢や葛藤が、緊迫感あるシーンを通して生き生きと表現されているのが印象的です。
女相撲の歴史と制作の背景
女相撲は、江戸時代から興行として行われていたもので、明治時代には一時、人気を博しました。しかし、「風紀を乱す」との声により、次第に衰退していきました。『菊とギロチン』では、女相撲研究家の佐藤宏一氏や、女大関・若緑を母に持つ遠藤泰夫氏からの資料提供を受けて、当時の女相撲の姿を再現しています。
映画の撮影は2016年に滋賀県愛荘町で行われ、実際の土俵と相撲小屋が設けられました。エキストラの観客を前に、主演の木竜麻生を含む11名の力士たちが日々厳しい稽古に励みました。撮影にあたっては、相撲の基本動作を習得し、特有の技を披露できるまでに成長する姿は、観客にも大いに感動を与えます。
クラウドファンディングによる支援
映画『菊とギロチン』は、公開に際してクラウドファンディングを実施し、多くの支援を受けることに成功しました。「やるなら今しかない!」というプロジェクト名のもと、全国での上映支援を求めました。この支援を受けて、多くの土台が整い、作品が全国に届けられることになりました。
作品の持つメッセージ
本作は、夢を追い求めることの重要性や、どんな困難に直面しても諦めずに立ち向かう姿勢が鮮明に描かれています。瀬々監督が込めた思いは、時代や場所を超えた普遍的なメッセージとして観る者の心に響くことでしょう。
映画『菊とギロチン』は、2018年7月にテアトル新宿で公開され、以降全国順次公開される予定です。観客は、作品を通じて過去と現在を行き来し、社会に新たな視点を持つ機会を得ることでしょう。
この作品を通じて、かつての日本に daredな若者たちの姿を感じ、彼らが抱いていた自由への渇望を共に味わってみてはいかがでしょうか。
映画概要
- - 公開日: 2018年7月7日
- - 監督: 瀬々敬久
- - 脚本: 相澤虎之助・瀬々敬久
- - 出演者: 木竜麻生、東出昌大、寛一郎、韓英恵 他
- - 配給会社: トランスフォーマー
- - 公式サイト: 菊とギロチン公式サイト