松下洸平が贈る初エッセイ集『フキサチーフ』出版記念イベントレポート

松下洸平が贈る初エッセイ集『フキサチーフ』出版記念イベント

2024年12月16日、東京都渋谷区の「HMV&BOOKS SHIBUYA」において、俳優兼シンガーソングライターの松下洸平が初のエッセイ集『フキサチーフ』の出版を祝うトークイベントを開催しました。本書は、2021年4月号から2024年1月号までの『ダ・ヴィンチ』に掲載されたエッセイ連載や、特別に書き下ろされた2篇の作品を収録したものです。タイトルの「フキサチーフ」は、画材で使われる定着液を指し、松下はこのタイトルを通じて日々の出来事や出会いを整理し、描写したいと考えています。

エッセイの内容と松下洸平の思い

松下洸平は、日々の忙しさの中でも丁寧に文章を綴り、夢を追いかける一方で孤独を感じたくないと語ります。「書く」ことで彼の心の内を表現するエッセイは、素直で優しい言葉に溢れ、まるで彼の声が聞こえてくるようです。特に注目すべきは全ての装画や挿絵が松下自身の手によるもので、彼が美術の学校に通っていたことがそのクオリティを物語っています。彼は、自らの体験や思いを素直に表現することで、読者に勇気や温かさを届けようとしています。

トークイベントでは、松下が本書の36篇のエッセイを振り返り、「自分の約3年半のすべてがここに詰まっている」と再確認しました。彼は、忙しい日常の中でも進化し続け、たくさんの人々との出会いや別れを経験することを語り、懐かしさを感じつつも未来への期待を抱いています。

特に印象深いエッセイ

中でも特に印象に残ったのは、「居場所」という章です。この章では、デビューまでの苦しさや挫折を赤裸々に語り、俳優を目指したきっかけやオーディションの苦闘について素直な言葉で綴っています。彼は「楽しかったことだけでなく、悔しかったことも書くべきだ」と感じており、今の自分があるのは、その経験があるからだと述べています。

さらに、最もお気に入りの章「鬆」では、夜遅くまで珍しい漢字を探し続ける様子をユーモラスに描写。松下はその中で、自分自身を振り返る材料としてエッセイを書いているという姿勢を見せており、読者にとっても共感を呼ぶ内容となっています。

読者へのメッセージ

松下は、読み手にとっても心のお守りのような存在になることを願ってこの作品を書きました。イベントの締めくくりでは、「悩んだり悲しい気持ちになったときに、もう一日頑張れる力を届けられたら」と情熱を込めて語り、温かい雰囲気の中で終了しました。

この初のエッセイ集は、松下洸平の人柄や思いが詰まった一冊となっており、彼自身の成長や未来への期待を感じさせる内容となっています。興味のある方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。