次世代データセンターの冷却技術「cooliquid」発表
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下CTC)は、次世代データセンター向けの革新的な液冷ソリューション「cooliquid」の提供を開始しました。この新技術は、AIを駆使した大規模な計算処理に伴うサーバの高熱負荷を効率的に管理し、データセンターの冷却領域に革命をもたらすものです。
「cooliquid」は、データセンターのファシリティ要件の策定から、設備の施工、最新機器の選定・調達、さらには保守・運用に至るまでの一貫した供給が特徴です。この液冷システムにより、サーバの効率的な冷却が実現し、同時に消費電力を低減するため、必要不可欠なITインフラの構築が支援されます。特に、クラウド事業者や大手通信事業者、エンタープライズ企業などのデータセンターを保有する企業に向けて展開される予定です。
最近のデータセンターにおける電力需要の増加は急速であり、脱炭素社会の実現には脱炭素電力の供給が欠かせません。総務省と経済産業省のレポートによれば、液冷や液浸といった最新の冷却技術の導入は、データセンターの省エネルギー化とエネルギー効率の向上に大きく寄与することが示されています。こうした技術の進展に加えて、エネルギー効率基準の設定や報告義務化などの制度面からのアプローチも進んでおり、データセンターの環境負荷の軽減と持続可能な運営が求められています。
CTCの「cooliquid」は、新設および既存のデータセンターに向けた液冷ソリューションであり、導入から運用までのトータルサポートを行います。液冷システムは冷却水を利用して熱を効率的に吸収・移動させるため、高密度なGPU環境においても安定した熱管理が可能です。これにより、空冷方式に比べて冷却の効率が高くなり、高密度なサーバ配置が実現されます。さらに、施設の面積や資材の使用量を減少させることで、建設や運用時の環境負荷も軽減されると期待されています。
ただし、液冷システムの導入には冷却プレートや配線、循環液の配管設計などに高度な技術が求められます。そのため、設計から保守までを一貫してサポートする体制が重要となっています。CTCは特定建設業の許可を持ち、システム設計・構築に加え、安定稼働に不可欠な高度な専門性を持つファシリティ工事への対応も可能です。これまでに培ってきた実績を活かし、IT機器の要件策定やラックの耐震対策、配線工事においても数多くの成功事例を持っています。
「cooliquid」の導入に際しては、米国の大規模クラウドサービス事業者向けの実績を持つ海外ベンダーとの協力関係が強みにあり、冷却方式やサーバ提供方式、機器構成などを基にして、各顧客に最適な液冷ソリューションをワンストップで提案することが可能です。また、導入後の運用においては、電力使用量の可視化、温湿度・CO₂排出量の管理、運用ルールの策定を通じて、顧客のグリーンIT推進を全力で支援します。 今後もCTCは国内外のメーカーとの連携を強化し、冷却設計力や技術支援体制をさらに向上させることで、液冷ソリューションの高度化と普及に貢献していく方針です。