聴覚障害者に優しいテレビCMを実現する新サービスとは
株式会社イメージスタジオ・イチマルキュウが開始した『109字幕制作サービスPLUS』は、聴覚障害者や難聴者にとって、より理解しやすい広告メッセージを届けることを目的としています。これは、一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)の協力を得て実現したサービスであり、3400万人もの聴覚に課題を抱える人々のニーズに応える試みです。
聴覚障害の現状
日本では高齢化が進む中、聴覚障害や難聴を自覚している人が増えてきています。およそ3人に1人がこの問題を感じており、今後もその数は増加すると予測されています。近年、字幕が付与されたCMが増えているものの、それでも実際に聴覚障害者にとって十分に伝わっているとは言えません。
新たなサービスの必要性
言語や情報のアクセシビリティが求められる現代において、ITやメディアでの情報発信は重要な役割を果たしています。しかし、聴覚障害者にとって、従来のCMの字幕は必ずしも十分ではなく、情報伝達手法の向上が求められています。『109字幕制作サービスPLUS』は、こうした課題に対応することを目的としたサービスです。
サービス概要
この新しいサービスでは、従来の字幕作成に加え、聴覚障害者や難聴者からのフィードバックをもとに字幕の評価分析を行い、その意見を反映させていく仕組みを導入しています。具体的には、以下のようなプロセスが含まれています。
1.
仮字幕の作成:元となる映像素材を基に、初期の字幕を作成します。
2.
ヒアリング:クライアントとIAUDの担当者がCM素材に関する詳細な情報を伺い、評価基準を決定します。
3.
分析評価:字幕のパフォーマンスやCM全体の印象に対して、聴覚障害者の視点から評価を行い、具体的な数値に落とし込みます。
4.
レポートの作成:評価結果を基に、改善点や提案を行うレポートを作成します。
5.
提案活動:聴覚障害者が感じた問題点を基に、今後のCM字幕の品質向上を目指します。
このプロセスを通じて、より多くの人々に情報を届けると共に、CM制作における広告投資効果を高めることを目指しています。
ケーススタディ:東急不動産のCM
一例として、東急不動産から発表された新築マンションのCMでは、聴覚障害者の視聴態度に基づいた実践がされています。特に、話者の口の動きや商品名のルビを挿入することで、聴覚情報への配慮がなされています。これにより、聴覚障害のある視聴者に対しても、ブランド名や重要なCMメッセージがしっかりと伝わります。
今後の展望
『109字幕制作サービスPLUS』は、2025年春に正式にサービスを開始する予定です。広告主のフィードバックをもとに更なる改善を重ね、テレビCMをより多くの人々に分かりやすく、アクセスしやすいものにしていくことを目指しています。
この取り組みは、聴覚障害があってもない人々にとっても、より良い情報環境を創出するための大きな一歩となることでしょう。