映像解析技術を活用した混雑状況の可視化
高松琴平電気鉄道(琴電)と三菱電機が共同で行った実証実験では、映像解析技術を駆使して列車及び駅の混雑状況を可視化する取り組みが進められました。この実験は、琴電の栗林公園駅で実施され、カメラを用いて乗降人数や駅窓口の滞留時間を計測し、データ分析が行われました。
実証実験の背景と目的
鉄道事業者が直面する混雑状況の把握は、利用者の快適な移動を確保するために重要ですが、従来の手法では人手によるカウントが行われていました。しかし、この方法では短期間かつ限られた人数でのデータしか取得できず、運行改善に向けた持続的なデータの収集が難しいという課題がありました。
そこで、三菱電機は琴電の栗林公園駅にカメラを設置し、約4週間にわたってデータを収集しました。その結果、夕方のラッシュ時には乗降人数が朝のラッシュ時の半分以下であることが明らかとなり、夕方の車両数を削減することが可能であると導き出されました。
データ分析の成果
1. 乗降人数の可視化
実験では、駅に設置されたカメラで列車の乗車人数と降車人数を分けてカウントしました。そのデータは時間帯別にグラフ化され、平日夕方の利用者数が閑散としたことが示されました。特に、栗林公園駅では、午後5時の乗降人数が午前8時に比べて著しく少ないことが確認され、今後の運行ダイヤにおける車両編成を見直す材料となりました。
2. 駅窓口の滞留時間分析
さらに、駅窓口付近に設置したカメラを通じて、曜日ごとの滞留時間のデータを分析しました。平日では、午前9時から10時と午後3時から4時が特に混雑していることが確認され、土日では午前10時と午後1時がピークとなりました。この情報をもとに、窓口業務の人員配置を最適化することが可能であると判明しました。
今後の展望
本実証実験で得られたデータを基に、さらに複数の駅での検証を行い、映像解析技術の性能向上を図る計画です。これにより、混雑状況に応じた効率的な運行ダイヤの編成や、窓口の人員配置を見直し、より快適な鉄道サービスの提供を目指します。
三菱電機は、独自のデジタル基盤「Serendie®」と連携しつつ、映像解析ソリューションの実用化を進め、鉄道事業者の課題解決に貢献することを目指しています。これは、鉄道事業の効率化の一環として、持続可能な社会に向けた取り組みでもあります。
今後も、鉄道事業者向けの映像解析ソリューションとして、効率的かつ快適な移動手段の提供に貢献していくことが期待されます。