新ブランド「IBUKI」の誕生
大阪府東大阪市にて、有限会社ネットワーク社が新たな金属加工ブランド「IBUKI」を立ち上げることが発表されました。このブランドは2025年12月1日からスタートし、自社ECサイトおよびInstagramアカウントを通じて一般消費者向けに商品を提供します。「IBUKI」は、ただの製品を販売するのではなく、金属加工の魅力や技術、職人の思いを伝えることを目的としています。
金属加工の認知度向上
金属加工は日本のモノづくりの重要な一部ですが、一般的にはその存在があまり認識されていません。自動車に使われる部品や電子機器においても、実際に製造している町工場の存在が見えづらく、「メーカー」という一つのブランドに消費者がフォーカスしてしまう現状があります。そのため、金属加工に関わる職人の技術や製造過程が影に隠れてしまっているのが実情です。
この認知度の低さが、若い世代の就労意欲を削ぎ、業界全体の将来を危うくしています。金属加工業の伝統的なイメージである「きつい・汚い・危険」といった感覚が強くなり、職人を志す若者が減少していることが、経産省などの研究でも裏付けられています。これを打破するために「IBUKI」は、直接消費者に届く商品とともに、業界の魅力を伝え、次世代に選ばれる職業としての地位を確立しようとしています。
「IBUKI」の背景と使命
ブランド名「IBUKI」は、「新たな息吹を吹き込む」という意味を持ち、金属加工業界に新しい力を与える決意が込められています。代表取締役社長の垣内悠輔氏は、自身の職場での経験から金属加工業界の現状に疑問を抱き、多くの職人との対話を通じて「隠れた才能」に光を当てる必要があると感じました。2021年のある出来事から、彼は「黒子」の役割から脱却し、真正面から職人の技術や物語を消費者に届ける決意をしました。この体験が「IBUKI」の立ち上げの大きなきっかけとなりました。
独自の製品ラインアップ
「IBUKI」では、単なる製品の販売を超え、消費者にその製品にまつわるストーリーを提供します。具体的には、アルミ製のデッキケースやバングル、スマートキーケースなど、多様な商品を取りそろえています。これらはすべて高い技術を持つ工場で製造され、商品ページには制作の背景や工場の情報、職人の思いが掲載されるため、消費者は金属加工に対する理解を深めることができます。
もともと半導体や自動車、産業機械部品の製造を行っていた工場との連携により、見えない部分で行われている精巧な技術が反映された商品が誕生しています。