使用済みおむつの持ち帰りに関する調査の結果
近年、保育環境における衛生管理の重要性が増しています。おむつ処理の方法として、使用済みおむつを保護者に持ち帰らせるという慣習が、全国で見直される動きが進んでいます。BABY JOB株式会社が運営する「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」による調査によれば、2022年以降、全国の市町村において521の自治体がこのルールを廃止したことがわかっています。
しかし、今なお55の市町村(全体の3.9%)では、おむつの持ち帰りが続けられており、特に長野県、北海道、奈良県などに多く残っていることが確認されています。この持ち帰り問題は、保護者だけでなく、保育士にとっても負担となり、衛生面での懸念を生じさせています。
調査概要
調査名:第4回 公立保育施設における使用済みおむつの持ち帰り状況に関する全国調査
調査対象:全国の公立保育施設がある1,414の市区町村
調査期間:2025年4月23日~6月6日
調査方法:電話および一部書面による聞き取り調査
調査の結果、過去4回の調査および厚生労働省への要望活動の成果として、使用済みおむつの持ち帰りを求める自治体数は着実に減少しています。特に、今年の調査では、公立保育施設におけるおむつ持ち帰り廃止は進んでいる様子が見受けられます。
地域による差異
地域ごとの状況を詳しく見ると、依然として多くの自治体が使用済みおむつの持ち帰りを続けています。2022年には576の自治体が保護者におむつの持ち帰りを求めていましたが、3年後には521の自治体がこの方針を見直しました。とはいえ、長野県では9町村、北海道では8市町村、奈良県では4村が持ち帰りルールを続けており、これらの地域は改善の余地があります。
調査によると、持ち帰りを求める市町村の約5分の1が今後の廃止を検討中であり、徐々に改善が見込まれていますが、慣習への抵抗や、ゴミの管理の難しさが依然として大きな障壁になっています。
私立保育施設への支援
また、私立保育施設における支援も課題となっています。調査結果によると、私立保育施設が使用済みおむつを園内で処理できるような補助を実施している市区町村はわずか178(15.9%)しかありません。自治体が積極的に私立施設を支援し、すべての保育施設で園内処理が可能になるよう取り組む必要があります。
有識者のコメント
ライターの髙崎順子氏は「使用済みおむつの持ち帰り問題の改善は進んでいるが、全国で『ゼロ』であるべき」と主張し、地域の差の解消を求めています。この問題に関する意識を高め、保護者、保育士、児童それぞれが安心して過ごせる環境を整備するためのアクションが大切です。
まとめ
現在、全国的には使用済みおむつの持ち帰りを廃止する傾向が見られますが、地域によっては依然として慣習や条件が影響しており、改善が求められています。この問題の解消に向け、全国の市町村が一丸となって取り組むことが必要です。今後も「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」の活動が鍵となり、子育て世帯が安心して保育施設を利用できる環境づくりを進めていくことが期待されています。