岡山県発の幻の酒米「雄町」とその地酒の魅力
日本酒を愛する人々にとって、岡山県の「雄町(おまち)」は特別な意味を持つ酒米です。この酒米は、岡山県が生産量の約95%を占めており、古くから多彩な酒米が生産されてきた地域で特に顕著です。
「雄町」は1859年に発見され、その後、日本の酒米の中でも特に評価されるようになった品種です。現在広く知られる「山田錦」や「五百万石」のルーツともなり、全国でも珍しい日本古来の原生品種です。そのため、「雄町」は、育成が難しく、病害虫に弱いため、一時は生産量が減少しました。その時期には“幻の米”とも呼ばれましたが、酒蔵の要請を受けて再び生産量が回復し、今では全国的に広まっています。
雄町米の特性
「雄町米」は心白が大きく、酒米としての吸水性や糖化性に優れており、もろみの中で溶けやすいため、深みのある濃醇な味わいを楽しむことができます。このため、熟練した技術が必要とされ、多くの杜氏が挑む酒米でもあります。「杜氏泣かせの酒米」としても知られているのです。
雄町で造ったお酒の特徴
「雄町」を使ったお酒は、その特性から様々な魅力を持っています。具体的には次のような特徴があります。
1.
丸みのあるふくよかさ
2.
昔の米に見られる野性味
3.
複雑な味わい
4.
長い余韻
5.
熟成による変化
6.
料理との相性の良さ
これらの特徴を活かすことで、飲む人に深い感動を与えます。実際、昭和初期には「品評会で雄町で醸した吟醸酒でなければ入賞できない」と言われるほど評価されていました。
おすすめの「雄町」を使用した地酒
ここでは、「雄町」を使った地酒の中から、特におすすめの5つをご紹介します。
1. 極聖 純米大吟醸 高島雄町(宮下酒造)
精米歩合35%まで磨かれた「極聖」は、華やかで上品な吟醸香と、ふくよかな味わいが魅力です。フランスの「Kura Master2025」コンクールでプラチナ賞を受賞した逸品です。
2. 極大吟醸 原酒 室町時代(室町酒造)
モンドセレクションやIWSCなどで高評価を得ている、雄町米100%の至高の大吟醸原酒で、豊かな吟醸香と旨味が楽しめます。
3. 純米吟醸「桜渓」(山成酒造)
地元の雄町を60%精白して醸された本商品は、すっきりとした味わいと酸味が際立つ、地域ならではの日本酒です。
4. 赤磐雄町50 純米大吟醸(利守酒造)
力強さと繊細さが融合したこの純米大吟醸酒は、異なる温度で様々な表情を楽しむことができ、どんなシーンでも楽しめます。
5. 御前酒1859(辻本店)
「雄町」の歴史を基に造られた純米酒で、新しい雄町のスタンダードとして、多くのシーンで選ばれることを目指しています。
日本酒好き必見のイベント
また、2025年10月には東京・新橋にて「雄町」で造る地酒を堪能できるイベントが開催されます。試飲会では、岡山の酒蔵が自らの酒を紹介し、さらに岡山の美味しいグルメも楽しめます。地酒の深い味わいを、是非この機会に体験してください。続けて、各蔵元の酒についての特別トークセッションも行われ、参加者は造り手との交流も楽しめる内容となっています。
ぜひ岡山の魅力を味わって
「雄町」で造られた地酒は、その歴史と技術の賜物であり、ぜひ多くの人にその魅力を知ってもらいたいと思います。この素晴らしい日本酒を通じて、岡山の文化と風土を感じてみてはいかがでしょうか。