Wi-SUN規格の新技術
2026-10-21 11:07:35

京都大学が実現したWi-SUN規格の同時動作技術とは?

イントロダクション


近年、スマートメーターとエネルギー管理の重要性が増していますが、その通信方式が複雑であることも問題となっています。そんな中、京都大学の原田教授率いる研究チームが、革新的な技術を開発しました。この技術により、異なる2つの国際無線通信規格である「Wi-SUN HAN」と「Wi-SUN FAN」を単一の無線機で同時に運用することが可能となります。これがもたらす影響は、今後のスマートメーターシステムにとって非常に大きなものです。

技術の背景


スマートメーターは、電力会社が家庭に設置し、電力使用量を計測するための重要な機器です。通常、これには2つの通信経路が用いられます。1つは、電力会社との通信を行う屋外通信(Aルート)で、国際無線通信規格である「Wi-SUN FAN」が利用されます。もう1つは、家庭内でのエネルギー管理を行うための宅内通信(Bルート)で、こちらは「Wi-SUN HAN」という規格が使用されます。これらの規格は、いずれも920 MHz帯を利用していますが、その接続手順や認証方式が異なるため、従来はそれぞれの規格に対応した無線モジュールを別々に使う必要がありました。

新たに開発された技術


京都大学の研究グループは、この2つのWi-SUN規格を同時に動作させるための新しい技術を発表しました。2026年5月に発表された共通ファームウェアを基にして、「無線共用調停部」と「高速物理層切替え」機能を新たに追加しました。このおかげで、1つの無線機で両規格の通信を切り替え、接続を維持したまま運用できるようになりました。

無線共用調停部

この機能では、Aルートで通常使われるWi-SUN FANが通信中でも、必要に応じてBルートの通信に切り替えることが可能です。切り替えには時間帯設定が用意されており、これにより安定した通信を実現します。特に、電力値を読み取る際にはWi-SUN HANを利用し、安定した応答が可能になります。

高速物理層切替え

もう一つの特徴である「高速物理層切替え」機能は、Wi-SUN HANとWi-SUN FANの通信設定を迅速に変更し、スムーズに切り替えることを可能にします。この機能により、約0.4ミリ秒での通信切替えが実現され、これにより両規格の通信を並行して行うことができるのです。

実証実験の結果


この開発されたファームウェアを搭載した無線モジュールでは、2つの利用モデルに基づく実証試験が行われました。うち1つのモデルでは、Wi-SUN FANを用いて電力会社との通信、Wi-SUN HANを用いて家庭内のHEMS機器との通信が確認されました。実験では、HEMS機器からの電力値読み出し要求に100%応答できることが実証され、通信の信頼性が証明されました。

もう一方のモデルでは、家庭内のHEMSのデータをWi-SUN FANに送信し、99.99%以上のデータ到達率も確認されました。また、Bルートの通信においても、10秒間隔の読み出しで99.95%の期限内応答率が達成されるなど、非常に高い信頼性が証明されました。

今後への展望


この技術の適用により、スマートメーターやHEMS機器の無線通信のコスト削減と小型化が期待されています。また、電力だけでなくガスや水道など他のインフラとの共同検針が可能になることにも繋がります。特に、次世代スマートメーターでは共同検針システムの導入が進められており、これを支える基盤技術としての活用が見込まれます。

今後は家庭内のエネルギー管理や、より広範なエネルギーマネジメントシステムへの応用が進む予定です。これにより、社会全体のエネルギー効率が向上することが期待されます。これらの開発された技術が実用化されれば、スマートシティの実現に向けた大きなステップとなるでしょう。

会社情報

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京都大学 原田研究室
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