生徒の手で誕生した新たなスクールバッグ
2023年、跡見学園中学校高等学校は、創立150周年を祝う特別なプロジェクトを立ち上げました。その名も、マザーハウスとの共同で開発したスクールバッグです。このプロジェクトは、単なる物のデザインに留まらず、生徒たちの意見や価値観が反映された「自分たちで選んだ」バッグ作りを目指しています。校長の松井真佐美氏の呼びかけに始まり、プロジェクトには多くの生徒が積極的に関わってきました。
生徒の選択肢を尊重したものづくりの過程
このプロジェクトのスタートは2023年8月。生徒会を中心に集まった生徒たちは、自分たちが使うバッグの「形」と「機能」について率直に意見を交わしました。まず最初に明確にされたのは、生徒たちが「自分で選択すること」の大切さでした。生徒たちは、バッグのデザインや使いやすさに対する希望を出し合い、さまざまなニーズをすり合わせていきます。具体的には、バッグを中学校の机に掛けた際に底がつかないようにするためのベルトの長さ、冬のコートの上からも楽に掛けられるデザインなど、細部にわたる調整が必要でした。
最終的には、校長室の前にサンプルを展示し、学校全体の学生に色の希望についてアンケートを実施。その結果、1,400名の学生により「ネイビー×ネイビー」のデザインが選ばれることになりました。これにより、230年以上の伝統を誇る跡見学園中学校高等学校に相応しい、洗練されたバッグが完成しました。
軽やかさと調和を考慮したデザイン
新たにリニューアルされたスクールバッグは、6年間の中高生生活を共に歩むパートナーとして設計されています。軽やかさを重視し、本体素材や金具の選定にかなりの時間をかけました。また、伝統的なスクールカラーである「紫紺」に合う色味を選定。バッグ右下には、レザーに銀色の箔押しで校章の桜が施され、デザインに品格が加わりました。
ポケットの配置やサイズについても、生徒たちの意見が徹底的に取り入れられています。学用品やiPad、水筒、パスケースなど、生徒生活に必須のアイテムを快適に収納できるよう考慮されました。
誇りを持って使うバッグ
松井校長は「本物に触れ、自分で選択することで自立した大人に育ってほしい」との思いを語ります。このスクールバッグは、生徒たちの意志で選ばれた結果として、彼女たちにとって特別な存在になることでしょう。
跡見学園中学校高等学校は、教育の核心に「本物に触れ、豊かな心を育てる」ことを掲げています。今回のスクールバッグの開発は、まさにこの理念の具体化であり、さらなる文化の芽生えを期待しています。
マザーハウスとの強力なパートナーシップ
株式会社マザーハウスは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念のもと、モノづくりに情熱を注いでいます。2006年の設立以来、バングラデシュやインドネシアなど、途上国に根ざした素材や技術を活かし、世界中に親しまれる製品を生み出しています。今回のプロジェクトも、彼らの理念に基づき生徒たちとの共同作業によって生まれたものです。マザーハウスのチーフデザイナーである山口絵理子氏のリーダーシップの下、デザインの各ステージでの対話が行われ、実現した共同作業は、未来への希望の象徴となるかもしれません。
最後に
このスクールバッグは、パートナーシップの成果だけでなく、生徒たちへの貴重な教育的体験でもあります。彼女たちが今後の学生生活をどのように歩んでいくのか、その足元には、自分たちの意志で選んだバッグがいつもあることでしょう。これからの跡見学園中学校高等学校の新たな文化をともに育んでいくことが期待されます。