近年、怪異や妖怪に関する研究が注目を集め、新たな学問分野として確立されつつあります。この度、株式会社河出書房新社から発表された「怪異・妖怪学コレクション」が全6巻で完結し、その重要性が再認識されています。
最終巻となる「現代を生きる怪異・妖怪」が2025年9月29日に発売され、これをもってシリーズは完結を迎えました。このコレクションでは、特に2000年以降に発表された新鮮な論考が収められており、今後の研究にとって重要な基盤となることが期待されています。
監修者・編者のメッセージ
シリーズ全体を監修した小松和彦氏は、怪異・妖怪研究がこの四半世紀で驚異的な進展を遂げてきたと述べています。彼は、「このコレクションは一つの到達点であるが、さらなる豊かな進展のための踏み台である」と強調しました。また、「私たちが怪異や妖怪を通じて表現してきた思いが何を反映しているのか、問い続けることの重要性も示唆しています。」
各巻の編者たちもこのコレクションの意義を語っています。例えば、怪異・妖怪の概念や方法論に取り組む廣田龍平氏は、全体像を把握することの難しさに触れつつ、若い世代が新たな発見をする手助けとなることを期待しています。安井眞奈美氏はこのシリーズを通じて、妖怪の多様性やその文化的意義を探る楽しさを伝えています。
充実した内容
このコレクションは、各巻が独自のテーマに基づいて編纂されており、複数の視点から対象に接近する意欲的なものです。第1巻は「怪異・妖怪とは何か」というテーマで、広く知られる妖怪の概念を掘り下げます。その後の巻も、歴史や文学における怪異・妖怪、さらには娯楽としての視点まで、多岐にわたる論考が収められています。
特に第4巻では文学や美術の観点から怪異・妖怪を分析し、どのようにそれらが民間信仰や文化に影響を与えてきたのかを探求しています。また、第5巻では現代文化における妖怪の役割や、ポップカルチャーにおける影響力についても言及しています。
新たな研究の始まり
全6巻の内容を通じて、多くの研究者や愛好者に新たな視点を提供することができるでしょう。特に、怪異・妖怪学は全国の大学での専攻科目としても注目を集め、多くの学生がこの分野に興味を持つようになっています。
怪異や妖怪はただのフィクションではなく、私たちの文化や信仰、日常生活とも深く結びついています。このシリーズをきっかけに、今後一層の研究の広がりが期待されます。これからの怪異・妖怪学の展開に大いに注目したいところです。
この機会にぜひ、「怪異・妖怪学コレクション」を手に取ってみてはいかがでしょうか。未来の怪異・妖怪学を切り拓くヒントが、ここに詰まっています。