カリフォルニア州での新しい試み
株式会社アクプランタは、2025年4月、アメリカ・カリフォルニア州セントラルバレーで、同社が開発した農業資材「スキーポン」の大規模実証試験を行うことを発表しました。この実証試験は、トマト栽培の盛んな地域でスキーポンの効果を検証するもので、圃場の面積は約70ヘクタール、これは東京ドーム約15個分にも相当します。
実証試験の目的と方法
スキーポンを利用した栽培の導入を目指し、圃場はスキーポン未使用の通常区画とスキーポン散布区画に分けられます。この二つの区画間で、生育状況や収量の違いを比較し、スキーポンの有効性を評価する予定です。
本試験の結果は、トマト栽培におけるスキーポンの実用化を図る試金石とされており、特に乾燥や高温に対する耐性の向上が期待されています。これにより、生産者が抱える課題の解決に寄与することが理想です。
スキーポンの特徴
スキーポンは、酢酸の作用を利用した農業資材です。酢酸は植物の乾燥や高温への耐性を高める効果があり、これにより収量の増加や品質の維持、水資源の節約につながるとされています。つまり、スキーポンを使うことで、環境に配慮した持続可能な農業を実現する手助けになるのです。
アクプランタ株式会社について
アクプランタは、2017年に理化学研究所の研究員だった創業者の金鍾明氏によって設立されました。彼は学術誌「Nature Plants」に酢酸の植物への影響を発表し、これが後のスキーポン開発につながりました。アクプランタは気候変動や減農薬のニーズに応え、現在、米国やウガンダなど14カ国で実証実験を行っています。
国内では、JAふじ伊豆や群馬、愛知、和歌山の農業試験場と提携し、全国各地の農家や企業との共同研究を行っています。これまでにも、アグリテックグランプリ最優秀賞や日経賞など数々の受賞歴があります。
実証試験の予定と展望
今回の実証試験は、2025年の夏頃に評価結果が公開される予定です。成果次第では、カリフォルニア州のトマト栽培におけるスキーポンの導入が進むことが期待され、今後の展開に多くの注目が集まっています。果たして、スキーポンは農業の新たなソリューションとなることができるのか、私たちもその成果を見届けたいと思います。