死刑執行に対する抗議声明
アムネスティ・インターナショナル日本は、2023年1月31日に白石隆浩氏に対して行われた死刑執行に対し、強く抗議の意を示しています。この日、石破政権下では初となる死刑執行が行われ、2022年7月の加藤智大氏の執行から約三年ぶりとなります。特に、この時期が参議院選挙を控えたタイミングであったことは、死刑執行に対する議論を一層复杂化させています。
昨年の10月9日、1980年に死刑が確定した袴田巖氏が再審を経て無罪を言い渡された事例は、死刑制度の問題点が根深いものであることを示しています。この動きにより、死刑制度に対する批判が高まり、多くの疑問が投げかけられています。また、昨年12月には国連人権理事会の特別報告者が、日本の死刑制度が国際法に抵触する恐れがあるとし、執行方法の見直しや執行停止の検討を要請しました。このような国際的な声に対し、日本政府はあまりにも消極的であり、その姿勢は問題視されています。
さらに、日本が国連総会で支持を受けた死刑執行停止を求める決議案は、国際社会における日本の人権状況についての関心を高める原因となりました。日本国内だけでなく、国際的にも死刑制度の不公正さが浮き彫りになっている中での今回の執行は、袴田氏によるえん罪の苦しみを含め、長い間人権が蔑ろにされてきたことを示しています。
2023年の国連の普遍的定期的審査では、115カ国からの勧告があり、死刑執行が優先課題に挙げられました。国連自由権規約委員会は、「世論に流されず、死刑の廃止を考慮すべきだ」として、日本政府の態度を非難しています。国際法に基づく勧告は無視され、世論に依存した対応に終始している日本政府は、極めて危険な方向に向かっていると言えるでしょう。
アムネスティ・インターナショナル日本は、生命の尊厳を守るために、全ての死刑に反対しています。死刑は、あらゆる生命の権利侵害であり、残虐で非人道的な刑罰です。日本政府は国際人権条約の締約国として、死刑に頼らない刑事司法制度の構築が求められる立場にあります。死刑の執行を停止し、廃止に向けての具体的な措置を講じることは、日本政府の国際的な義務でもあります。アムネスティは、亡くなられた全ての人々のために一刻も早く、死刑廃止に向けた法律を整えるよう要望しています。
このような背景の下、私たち市民もまた、死刑制度について深く考え、議論を重ねていく必要があります。国の運営による不正やえん罪の恐怖から自由な社会を実現するためには、声を上げ続けることが大切です。国際社会の厳しい目が向けられている今こそ、日本の未来を見据えた対応が求められているといえるでしょう。
詳しい情報については、アムネスティ・インターナショナル日本の公式ウェブサイトをご覧ください:
アムネスティ・インターナショナル日本