近年、持続可能性が重要視される中で、建設業界から排出される廃プラスチックのリサイクルが新たな課題として浮上しています。そのような中、鹿島建設株式会社や竹中工務店、NIPPON EXPRESSホールディングスなどの6社が共同で「建設現場から排出される廃プラのケミカルリサイクル実証事業」に取り組むことが発表されました。このプロジェクトは、2025年8月19日に環境省の公募事業に採択され、建設現場の廃プラスチックを再利用する新しい方法を探るものです。
建設現場から出る廃プラスチックは、主に梱包材や保護材、端材など多様な形で発生します。しかし、汚れや不純物が多いため、従来のリサイクル方法では手間がかかり、多くは焼却や埋立処分されています。こうした現状を打開するために、6社はケミカルリサイクル技術に着目しました。この技術はプラスチックを分解し油に戻すことで再利用を可能にするものです。
本事業では、まず廃プラスチックのケミカルリサイクルによる資源化の向上を図り、事業の環境性と経済性の両面から課題を評価します。さらに、建設業界全体へのサプライチェーンの構築を目指し、実用的な解決策を提案することを目指します。特に、建設現場は全国各地に存在するため、収集運搬によるCO2排出量を考慮したライフサイクルアセスメント(LCA)も実施し、脱炭素に向けた効果を算出する予定です。
リファインバースグループがこのプロジェクトに加わることで、さらなるイノベーションが期待されます。このグループは20年以上にわたってサーキュラーエコノミーを実践し、様々な素材の再生に取り組んできました。特に、廃タイルカーペットを再生素材に変える技術や、廃漁網から高品質なナイロンペレットを作る取り組みが評価されています。
また、2023年には新たに鳥の羽根を用いたバイオ素材「ReFEZER」を開発し、その事業もスタートしました。こうした取り組みは、環境保護と新たなビジネス機会の創出を両立させるものとして注目されています。
これからの建設業界において、廃プラスチックのケミカルリサイクルは重要なテーマになるでしょう。このプロジェクトが成功すれば、他の業界にも良い影響を与え、持続可能な社会に向けた一歩を踏み出すことができるかもしれません。新たなリサイクルの流れが、業界全体の風景を変え、未来の環境保護に寄与することが期待されています。