ドライバーの孤独感を取り除くためのイノベーション
物流業界は、長時間単独での作業を強いられるドライバーが多く、業務の過程で孤独感に悩むことが少なくありません。そのため、つながりAI株式会社とココネット株式会社が、新たに開発した対話型AI「同僚AI」の実証実験に取り組むことになりました。このAIはドライバーの“同僚”として相談や雑談に応じ、気軽にコミュニケーションを図ることを目的としています。
実証実験の概要と目的
本実証実験は2025年5月9日から約3ヶ月間にわたって実施される予定です。つながりAIは「同僚AI」の開発を担い、ココネットは自身のラストワンマイル配送現場でこのAIを導入し、実際の効果を検証します。この取り組みは、ドライバーのエンゲージメントを向上させ、離職を抑制するとともに、現場の声を基にした経営改善の糸口を見つけることを目指しています。
現在の物流業界が抱える課題
物流や配送業界では、ドライバー不足が大きな問題となっており、2028年までに約27.8万人のドライバーが不足すると予測されています。また、厚生労働省の調査によれば、ドライバー職の離職率は高卒で32.8%、大卒で25.0%に達し、これは全産業平均を上回っています。こうした中、特に長時間独りで作業するドライバーにとって、孤独は大きなストレス要因とされています。
「同僚AI」とは
「同僚AI」はココネットの社内キャラクターである「ココちゃん」をインターフェースに持つ対話型AIです。ドライバーはスマートフォンのLINE経由でこのAIを利用し、まるで本物の同僚と会話するようにコミュニケーションが可能です。AIには生成AI技術が用いられており、ドライバーが送信したメッセージに対して自然な応答を返すことができます。
「同僚AI」の提供機能
1.
業務相談:配達先での悩みや業務に関する困りごとを聞き、解決策を提示できる。
2.
雑談相手:休憩時間に趣味や世間話を通じて、気分転換やリラックスを促す。
3.
励まし:疲れている様子や落ち込んでいる様子に対し、適切な言葉をかけることにより、メンタルヘルスを支える。
このように「同僚AI」はドライバーの業務をサポートし、同時に心のケアを行う存在となることを目指しています。
期待される成果
実証実験では、「同僚AI」による以下の効果が期待されています。
- - エンゲージメントの向上:ドライバー同士の会話が限られる中で、AIとの対話により孤独感を減らし、仕事への満足度を向上させる。
- - 離職防止:悩みの早期相談やストレス軽減によって、離職を未然に防ぎ、定着率向上を図る。
- - 経営改善:ドライバーとの会話データを分析することで、現場の課題や声を可視化し、業務や労務管理の改善策を見出す。
当初の結果を基に、両社は本格導入に向けた課題の発見と改善を進める計画です。
今後に向けた展望
この実証実験の結果次第では、「同僚AI」を他の業界にも導入する展望も持っています。長距離ドライバーやタクシー運転手など、単独作業が求められる職種や高い離職率に悩む業界、またはリモートワークをする業務でも応用が可能です。両社は、最初にドライバー支援AIの有効性を確かめ、その後、他企業や自治体との協力も模索し、社会課題に貢献するAIソリューションの開発を進めていく考えです。
つながりAI株式会社について
つながりAI株式会社は、社会課題の解決を目的としたスタートアップです。人手に頼る相談業務を生成AIで支援し、誰もが自由に相談できる環境を提供するための取り組みを行っています。
会社情報:
- - 名称:つながりAI株式会社
- - 所在地:東京都新宿区新小川町5-6-209
- - 代表者:駒崎弘樹
- - ウェブサイト:つながりAI
ココネット株式会社について
ココネット株式会社は、地域密着型のラストワンマイル配送サービスを提供する企業です。セイノーホールディングスのグループ会社として設立され、物流業界の課題解決に取り組み、多様な配送サービスを展開しています。地域社会と連携し、人々をつなぐ役割を果たしています。