日本のプロフェッショナルがAI活用で世界をリードする時代
トムソン・ロイターが発表した2023年版「Future of the Professionals」レポートによると、日本のプロフェッショナル達は業務においてAI技術を定期的に使用する割合が、世界の同業者の約2倍に及ぶことが明らかになりました。この調査結果は、日本国内のプロフェッショナルがAIの利用に非常に積極的であることを示しており、グローバルに見ても注目に値するものです。
AI活用の現状
具体的なデータによると、日本のプロフェッショナルの約90%が、今後5年間でAIが自身の業務に革新的な影響をもたらすと考えています。この数字は、世界平均よりもおおよそ10ポイント高い水準です。一方で、AI戦略を明確に持つ企業はわずか3%に留まっており、これは日本の企業が抱える課題の一つとして浮かび上がっています。
トムソン・ロイターの三浦健人社長は、「AIが2030年までにプロフェッショナルの役割に革新をもたらすというコンセンサスが広がっています。強力なリーダーシップと明確な戦略によって、そのポテンシャルを活かすことが不可欠です」と述べています。これにより、プロフェッショナルは生産性を向上させ、より良い意思決定を迅速に行うことが可能になるでしょう。
シャドーイノベーター
調査の中で特に注目すべきは、業務におけるAIの活用が「シャドーイノベーター」と呼ばれる状況で行われている点です。具体的には、AI技術を日常的に使う回答者の中において、正式な議論や研修に参加しているのはほんの一部(参加者の15%)で、その多くは個人レベルでの実践に留まっています。このような「隠れたイノベーション」は日本のAIの潜在能力を引き出す鍵を握っている可能性があります。
企業と個人の連携のギャップ
AIの重要性を認識し投資意向がある日本の企業リーダーは52%に上る一方、実際にフレームワークを構築している企業はほとんどありません。AIに関する計画を持つ企業はわずか19%で、多くの組織が導入計画を持っていないことが浮き彫りになっています。このギャップをどう埋めるかが、日本全体のAI活用を促進するための課題であり、企業リーダーの役割が期待されています。
日本のAIアドバンテージ
AIを試用しているプロフェッショナルが82%に上る日本の現状は、組織全体のイノベーションを推進する機会を示唆しています。企業は、個人が既に実現しているベストプラクティスを基盤として、イノベーションのインフラストラクチャを整えることが求められています。情報の透明性やリスクマネジメントへの関心を高めることが、AI活用を進める上で必要不可欠です。
トムソン・ロイターの役割
トムソン・ロイターは、法務、税務、貿易といった専門的な分野において、プロフェッショナル向けのAIソリューションの提供に注力しています。特に、今年10月には法務プロフェッショナル向けに日本語版の生成AIアシスタント「CoCounsel Core」を発表し、日本の法律実務に特化したサポートを開始しました。この取り組みは、150年以上の専門知識を基にしたものであり、プロフェッショナルがより高い付加価値を生む戦略的業務に集中できるよう設計されています。
まとめ
日本のプロフェッショナルがAIを活用する頻度は世界的に見ても高く、それに基づく将来への期待も大きいです。しかし、その一方で、企業としての戦略やフレームワークが整備されていない現状は、今後の発展の障害となり得ます。AI技術を駆使し、効率的に業務を進めるためには、リーダーシップと明確な戦略が不可欠です。トムソン・ロイターの調査結果からは、日本のAI活用の未来に向けた課題とともに、可能性も同時に見えてきました。