時代小説『いつわらざる蒼海』がついに登場
幕末の蝦夷地方、無城大名蠣崎家の領地に築かれた城。喜びに包まれる中、護送船が長崎へと旅立ちました。軍船には傷ついたアメリカの乗組員を乗せており、その護送のために若き医師も同船。春の穏やかな旅路は、思わぬ惨劇に変わります。傷を負った黒人が亡くなった事件は、医師の心に重くのしかかる選択を迫りました。実は、この悲劇は偶然ではなく、彼の見かねた行為であったのです。
数日後、目撃者となった侍が海に転落し、その死は許されざる毒殺だったのです。若き医師の理想と現実の狭間で揺れ動く心情が繊細に描かれています。傷を負った黒人の死、そして目撃者の侍の死。すべての出来事が絡み合い、物語は深い陰影を帯びていきます。
迫る運命と選択
長崎へ近づく頃、医師たちは海賊船に襲われる事態に直面します。本作には幕府の意図が隠されており、異国人排除という鎖国の理念が背後に潜んでいます。この時代、若い医師は自由への渇望と、現状に苦しむ人々の心の叫びを感じながら、彼自身の選択をしなければならないのでした。
著者の思い
本書の著者である楓しゅんは、人間の自由という課題を問い直すことをテーマにしています。彼は、カラマーゾフの兄弟や高瀬舟といった文豪の作品から影響を受け、「神なき時代にも自由を求める心」が存在していると考えます。過去の科学からの神の遺伝子を辿りながら、新たな自由の形を模索する姿が、幕末の医師を通じて描かれています。
書籍の概要
新刊『いつわらざる蒼海』は、2024年12月13日に発売予定です。出版社はパレードで、全国書店及びオンラインストアで購入が可能です。本作のISBNは978-4-86522-431-3で、定価は1,045円。物語は72ページに渡り、豊かな表現力で描かれた時代背景とキャラクターが印象的です。
著者プロフィール
楓しゅんは、京都芸術大学で文芸を学び、その後札幌大学を卒業しました。大阪芸術大学の文学教授を経て、さまざまな文芸活動を通じて成長してきました。2018年にはさっぽろ市民文芸優秀賞を受賞し、2022年には銀河文学賞佳作を贈られるなど、精力的に創作を続けています。
まとめ
新刊『いつわらざる蒼海』は、自由とは何かを深く考察する作品です。幕末という厳しい時代背景の中で、医師が引き起こす一連の事件は、私たちに選択の重みを感じさせるものとなっています。この物語を通じて、人間の心の深淵に迫る一冊をぜひ手に取ってみてください。