インパクト志向金融宣言プログレスレポート2024の発表
2021年に21の金融機関が共同で設立した「インパクト志向金融宣言」は、2024年の進捗をまとめた報告書を発表しました。この報告書では、宣言に署名した機関のインパクトファイナンス残高が、昨年の10兆7240億円から約1.7倍の17兆407億円に達したことが明らかにされています。
インパクトファイナンスの仕組み
インパクト志向金融宣言においては、金融機関が環境や社会の課題に積極的に取り組む姿勢が求められています。報告書では、インパクト投融資の状況を3つの段階で評価しました。具体的には、
- - 意図や戦略はあれど測定していない状態(縦軸0)
- - 意図や戦略を持ち、成果の測定を行っている状態(縦軸1)
- - 測定に加え、インパクト管理を実施している状態(縦軸2)
残高の集計は、縦軸1と2のインパクトファイナンスの合計がカウントされています。
残高増加の要因
対前年比約1.7倍の増加の背景には、以下の2つの要因があります。まず、三井住友銀行や三菱UFJ銀行、みずほ銀行などの大手金融機関のインパクトファイナンス残高が大幅に拡大したことです。また、ゆうちょ銀行が新たに署名機関として参加したことも大きな影響を与えました。公開された残高は国内外でほぼ均等に分配され、アセットクラス別では約70%が融資を占めています。
トップによる座談会の実施
報告書には、金融機関のリーダーたちがインパクトについて語る座談会の内容も掲載されています。第一回から第三回まで、それぞれ異なるテーマでインパクトの可能性や課題について議論が交わされました。これにより、金融機関がどのようにインパクトを目指しているのか、具体例を挙げて示されています。
今後の計画
環境が急速に変化している中、2023年7月に定めた中期計画を見直し、数年先の活動の重点を再評価する予定です。また、アセットオーナーによる参加が求められている現状を踏まえ、さらなるインパクトファイナンスの普及を目指した取り組みが続けられています。
まとめ
「インパクト志向金融宣言プログレスレポート2024」は、金融機関が環境や社会の問題にどれほど真剣に向き合っているかを示す重要な資料です。この取り組みが広がり、より多くの機関が参加することで、インパクトファイナンスがより効果的に機能することが期待されます。