日本テトラパックが描く資源循環の未来
日本テトラパック株式会社は、2025年に開催される大阪・関西万博で、北欧パビリオンにて「資源循環の未来」というテーマの特別イベントを開催しました。イベントは、資源循環の促進を目指し、業界の関係者約40名を招待して行われました。
オープニングでは、同社の代表取締役社長であるニルス・ホウゴー氏が、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて必要な産官学民の連携の重要性に触れ、循環型経済の実現に向けた共創の必要性を強調しました。イベントには、製紙業界やリサイクルに係る専門家たちが講演し、さらには資源循環の専門家によるパネルディスカッションも行われました。
講演者たちが提案する課題と解決策
基調講演では、欧州製紙連合会の事務局長であるヨリ・リングマン氏が登壇し、欧州における資源循環の事例を紹介。特に、EU包装・包装廃棄物規則(PPWR)への対応や、2030年までに紙繊維系の包装材料の90%をリサイクルする取り組みについて詳しく説明しました。彼は、効果的な循環型経済の実現には、素材メーカーからリサイクル業者までの連携が不可欠だと訴えました。
次にテトラパックのサステナビリティ部門副社長、キンガ・シェラゾン氏が登壇し、食品産業の温室効果ガス排出量の現状と、リサイクル性を高める「デザイン・フォー・リサイクリング」の重要性について述べました。
王子ホールディングスの島谷啓二氏も講演し、日本国内の古紙回収率が横ばいである現状を打破する必要性を強調。特に、未利用古紙をリサイクル可能にするための取り組みの重要性を述べました。彼は、日本テトラパックとの共同開発によるアルミ付き紙容器の段ボールへのリサイクルフローを紹介し、技術革新や行政・企業・市民の連携による資源循環の推進を求めました。
パネルディスカッションの展開
後半のパネルディスカッションでは、「官民連携を通した紙製容器包装の循環型社会の実現」をテーマに様々な視点から意見交換が行われました。パネリストにはイクレイ日本事務局長の内田東吾氏、王子ホールディングスの島谷啓二氏、日本テトラパックの大森悠子氏らが名を連ねました。
それぞれが現場の課題や実践例について語り合いながら、持続可能な資源循環の仕組みと、今後の展望について多角的な視点からのディスカッションが展開されました。
特に議論されたのは、地域によるリサイクルの効率性や市民の啓発の重要性でした。参加者は、自治体ごとの対応が細分化されている中で、より効果的な連携と協力のあり方を模索したのです。
未来への展望とクロージング
クロージングでは、大森悠子氏が、持続可能な未来に向けて利害関係者との協力を深める必要性を訴えました。彼女は、資源循環の推進に向けた新たな試みに取り組むことで、さらなる価値の創出を目指すことを強調しました。
大阪・関西万博の会場内には、リサイクルを支援する専用の回収箱が設置され、回収された古紙は関係各社の協力のもとリサイクルされる予定です。このように、日本テトラパックは持続可能な社会の実現に向けた取り組みを今後も続けていく決意を新たにしています。