台湾の大手保険会社が選ぶサイバーセキュリティの新たな柱「XCockpit」

台湾の保険業界における革新

近年、台湾の保険業界において、デジタル化と情報セキュリティの強化が急務とされています。特に、クラウドへの移行が進む中で、金融機関はどのようにして安全な情報管理を実現するかが問われています。2022年、台湾金融庁は「金融セキュリティ行動計画 2.0」を発表し、業界全体に向けた新たなセキュリティ対策を進めています。この動きは金融業界にゼロトラストの枠組みを取り入れる最初の試みとも言われており、多くの企業がその重要性を認識し始めました。

TransGlobe Lifeの挑戦

TransGlobe Lifeは、台湾で広く浸透している生命保険会社です。同社は、団体保険や銀行保険、保険代理店などの多様なチャネルを展開し、モバイルサービスやオンラインプラットフォームにおいても積極的にIT化を推進しています。顧客情報の取り扱いにおいては、特にデータ漏洩のリスクが深刻なため、同社はその信頼性を保つための努力を続けています。個人情報が漏れた場合の影響は甚大であり、顧客の信頼を損ねかねません。

2022年にCyCraftと提携し、MDR（Managed Detection and Response）ソリューションを導入したことで、TransGlobe Lifeはセキュリティを強化する道を選びました。このMDRサービスは、同社のセキュリティ担当者が組織全体のエンドポイントをリアルタイムで監視し、通信や分析に要するコストを削減しつつ、多角的な脅威レポートを提供してくれます。

XCockpitの役割

「XCockpit」は、AIに基づく世界初の自動サイバー脅威監視・リスク管理プラットフォームです。このシステムは、攻撃者がどのような方法でヒットポイントを狙うかを事前に予測し、効果的な対策を講じることを可能にします。これにより、迅速な応答が求められる金融業界においても、正確な分析を提供し、人的リソースの浪費を回避することが実現できます。

特に金融業界では、高い監査基準が求められるため、XCockpitの導入は同社にとって大きな一歩となりました。これにより、各種アラート分析や監視にも迅速に対応し、当局が求める基準に合致することができるようになったのです。

デジタルトランスフォーメーションへの期待

今後、XCockpitプラットフォームはADドメイン内のアイデンティティとデバイスを監視・分析し、ゼロトラスト環境下でのデバイス認証やユーザーの信頼度を確立するための基盤を提供します。情報セキュリティ製品やサービスを導入することにより、安定したネットワーク構造が整備され、金融機関のDX化に寄与します。

CyCraftは、2017年に設立されたAIを活用するサイバーセキュリティ企業で、台湾を本拠地としつつ日本やシンガポールにも拠点を持つ企業です。これまでに台湾の政府機関や銀行、ハイテク業界などにサービスを提供し、国内外の賞も多数獲得しています。